【解説】


 11月24日、関東を中心に雪が降り、東京都心でも雪が積もりました(記事)。11月に都心で雪が積もったのは観測史上初、雪が降ったのは1962(昭和37)年以来54年ぶりのことでした。

 今回はその54年前の11月に雪が降った時の記事を取りあげます。

 62年11月22日は、昼ごろから降り始めた雨が夜に入ってみぞれになり、それが初雪とされたようです。

 当時の記事の冒頭4行を現代の校閲記者の視点で見ると、何度か出てくる「みぞれまじりの雪」は「みぞれ」か「雪まじりの雨」に直して欲しいと筆者に言いたいところです。「みぞれ」はそもそも「溶けかけた雪と雨がまざって降るもの」(日本国語大辞典)。「みぞれまじりの雪」とすると意味が重なってしまいます。

 また、「昭和十七年十一月二十一日以来二十年ぶり」とあるのは、1942年11月22日付紙面などを見ても、それらしい記事は見当たりませんでした。62年当時の校閲としてはそれ以上の確認は難しかったでしょうが、今はインターネットやデータベースで調べられます。気象庁のホームページに「東京の初雪、終雪」という資料がありました。これによると、11月21日に初雪が降ったのは1941(昭和16)年。気象庁の「よくある質問」によると「初雪」は「寒候年(前年8月から当年7月まで)に初めて降る雪(みぞれを含む)」と、対象期間が2年にわたるので、資料を見誤ってしまったのかも知れません。

 気象庁の「東京の初雪、終雪」には1876(明治9)年から2015年までの初雪の日が一覧になっています。これを基に、初雪が早かった順に並べてみました。

 ①11月17日 1876(明治9)年、1900(明治33)年
 ③11月18日 1932(昭和7)年
 ④11月19日 1886(明治19)年
 ⑤11月21日 1941(昭和16)年
 ⑥11月22日 1898(明治31)年、1962(昭和37)年
 ⑧11月23日 1885(明治18)年
 ⑨11月24日 2016(平成28)年
 ⑩11月28日 1931(昭和6)年

 今年は、9番目に早い記録でした。

原文どおりに表記することを原則としますが、読みやすさの観点から

・漢字の旧字体は新字体に
・句点(。)を補った方がよいと思われる部分には1字分のスペース
・当時大文字の「ゃ」「ゅ」「っ」等の拗音(ようおん)、促音は小文字に

等の手を加えています。ご了承ください

山村 隆雄(やまむら・たかお)

1968年生まれ、千葉県出身。91年入社、名古屋本社校閲部。以来東京、福岡、大阪と異動しつつ校閲の仕事を続ける。2008年から東京本社校閲センター次長。高校、大学で柔道部。プライベートでは犬を猫かわいがりしている。