【解説】
 新聞紙面で劇評や公演告知を見ない日はありません。今回は歌劇・ミュージカルの記事を取り上げます。東京・丸の内に今も立つ帝国劇場での公演に警視庁の検閲が入ったてんまつです。1923(大正12)年の記事ですので、読みづらい点もあると思いますが、気になる部分を見てみましょう。

 まず公演の主人公が「盲目」「盲音楽家」とあります。前者はさておき、後者は視覚障害のある方への表現としては、今の新聞ではふさわしいとは言えません。後者を「目の不自由な音楽家」とし、前者も表現をそろえてもらいましょう。「女優劇」「女優連中」という表現も、必要以上の性別による区分はなるべく避けたいところ。「俳優」への言い換えを提案します。

原文どおりに表記することを原則としますが、読みやすさの観点から

・漢字の旧字体は新字体に
・句点(。)を補った方がよいと思われる部分には1字分のスペース
・当時大文字の「ゃ」「ゅ」「っ」等の拗音(ようおん)、促音は小文字に

等の手を加えています。ご了承ください

上田 孝嗣(うえだ・たかつぐ)

1966年生まれ、福岡県出身。91年入社、東京本社校閲部、仙台、函館支局、東京本社地域面編集などを経て2012年から校閲センター。食と酒の美味探求とスキューバダイビング、旅好きなアラフィフ。共著に「パイプ大全」。