【解説】

 前回、連載1回目を取り上げた、1948(昭和23)年の新年企画「昭和百年の夢」。今回は残りの4回を紹介しますが、特に読み応えのある第3回をメインで取り上げます。第3回は「生活編」。昭和100年、すなわち2025年の家や街の姿を、4人の建築家に予想してもらう、というコンセプトでした。前半部分は挿絵を交え、昭和100年の「空中アパート」に暮らす一家を描き、後半に建築家の談話を入れるという構成になっています。

 まずは校閲記者の視点で読んでみましょう。前半部分の一家の風景は「お正月だというのに」暖かい部屋という描写から始まりますが、その直後に子どもが「きょうラジオ学校で聞いた」という話をするのが気になります。休みなしのスパルタ教育制度が想定されているのかもしれませんが、ここは「正月でも学校があるということでよいか」と念押ししておきましょう。

 後半部分の談話に登場する「耐乏生活を押しつけた片山さん」は、当時の片山哲首相を指すものでしょう。記事の前年、記念すべき第1回国会で片山首相が述べた施政方針演説を見ると、当時の経済状況に対する言及が半分程度を占めています。この連載の第1回にも通じる、終戦後の人口増とそれによる食糧難に触れ、「この危機を突破できるかは、国民が耐乏生活を続けられるかにかかっている」と呼びかけています(別記事1)。これらを知る当時の読者には「片山さん」だけで十分通じたでしょうが、やはり肩書つきで書くのが自然に思います。

原文どおりに表記することを原則としますが、読みやすさの観点から

・漢字の旧字体は新字体に
・句点(。)を補った方がよいと思われる部分には1字分のスペース
・当時大文字の「ゃ」「ゅ」「っ」等の拗音(ようおん)、促音は小文字に

等の手を加えています。ご了承ください

加藤 正朗(かとう・まさあき)

2015年入社。生後2年程度だけ過ごした京都市を「出身地」と言い張る東京育ち。大学で7年間、化学工場の運転データと格闘するなどした後、校閲記者の道に。猫をこよなく愛し、猫アレルギーの体質を憎む。