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孤族の国

食べ物やごみ放置…セルフネグレクトの高齢者1500人

2011年3月8日8時57分

図拡大セルフネグレクトの高齢者、初めに何があった?

 医療や食事を拒み、食べ物やごみを放置――。健康や安全を自ら損なう「セルフネグレクト」(自己放任)と呼ばれる状態の高齢者が、2008年度に全国で1528人確認された。放置すると孤独死や「ごみ屋敷」につながりかねないが、対処が難しく、医療・福祉の課題になっている。全国調査は初めて。

 岸恵美子帝京大教授(地域看護学)らの研究グループが09年12月〜10年1月、地域介護の拠点である全国の地域包括支援センター4038カ所に調査票を送り、1046カ所(26%)から回答を得た。

 生活上当然すべき行為をせず、安全や健康が脅かされる状態をセルフネグレクトと定義し、65歳以上の人のケースを尋ねたところ、499カ所のセンターで計1528人だった。ホームレスは除いた。

 詳しく書かれた846人を分析すると、男女ほぼ同数、80〜84歳が26%と最も多い。68%が一人暮らしだが、21%は家族と同居。56%は介護保険の要介護認定を申請していない。経済状態に「余裕がある」「ややある」が計31%。20%が精神疾患、44%が糖尿病や高血圧など慢性の病気があった。

 センターの保健師や看護師らは通常、問題に気付けば医療や介護を受けるよう勧めるが、「放っておいて」と拒まれることが少なくない。調査でも、「支援がとても困難」というケースが42%に達し、「本人が拒む」という理由が47%で最も多かった。

 岸さんは「埋もれた事例も多く、高齢者だけで年に1万件のセルフネグレクトが起きている可能性がある。早くに見つかれば改善しやすいので、社会として把握し介入する仕組み作りが求められる」と話す。調査結果を踏まえ、早期発見のための注意点や、支援を拒む人とコミュニケーションをとる方法の例などを作る。(辻外記子)

  

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  単身世帯の急増と同時に、日本は超高齢化と多死の時代を迎えます。「孤族」の迷宮から抜け出す道を、読者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
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