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【「オウム教祖」判決】

1:教団 「教祖に帰依」今も


「総括の材料、ない」


 「いまも松本智津夫(麻原彰晃)の影響下にある教団は、将来再び無差別殺人に及ぶ危険性がある」

 昨年1月、公安審査委員会は、オウム真理教(アーレフと改称)をそう判断し、団体規制法に基づく教団への観察処分を3年間更新した。

 02年1月に教団代表に就任し、「元代表はすでに過去の人。ほとんどあの世の人。絶対的帰依の対象としていない」と言って松本離れを推進してきた上祐史浩は落胆した。

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 観察処分更新直後の昨年2月。埼玉県八潮市の工場跡地。教団が借りたこの場所に続々と信徒が集まった。その数、約500人。教団は、この集会で「信徒拡大」路線を打ち出す。

 全盛期に出家1400人、在家1万4000人の信徒を擁したが、出家約520人、在家約730人に減っていた。在家信徒の激減は財政悪化を招き、事件の被害者への賠償金の支払いも滞った。

 観察処分を回避するため勢力拡大よりも松本離れを進めてきた。それは一方で、財政基盤を危うくした。生き残るにはお布施をしてくれる在家信徒を増やすしかない。ジレンマの中での上祐の選択だった。

 信徒獲得の壁になったのが「教祖」の存在だった。関心を持っても道場にある松本の写真や説法集を見て、「教団は何も変わっていないんですね」と尻込みされた。上祐は、道場から松本の写真やビデオ、説法集を次々と排除していった。

 しかし、古参信徒らの崇拝熱は冷めなかった。八潮市の集会でも、「観察処分の更新も仕方がない。元代表に帰依していることに変わりない」との発言もあった。

 矛盾を抱えつつ、新たな拠点作りを進めたり、出会い系サイトを使って勧誘したりしたが、失敗に終わった。結局、昨年8月から拡大路線をやめて、出家信徒が働き手として外に出たが、収入増にはつながっていない。

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 上祐は昨年10月以降、東京都世田谷区のマンションの施設内の自室にこもり、表に出てこなくなった。ボサボサの頭で、無精ひげをはやし、マンションの通路を歩く姿が最近目撃されている。

 お布施集めのため、信徒にイニシエーション(秘儀)を繰り返して精根尽き、体力回復と修行を兼ねて休養している。教団はそう説明し、「失脚説」を否定する。

 一時的に集団指導体制に移り、今は幹部の5人が上祐の代わりに説法に立つ。公安当局は「松本への帰依を強調する説法が行われている」と一層警戒を強める。

 「事件の総括が足りないのではないか」

 判決を前にした今月5日の記者会見で、報道陣から切り込まれたアーレフ広報部長の荒木浩は冷静さをやや失って、まくしたてた。

 「何をもって? 世間が求める総括は『麻原を切れ』だろう。しかし、本人が語らないと本当のことは分からない。本質的な総括の材料がない」

   ◇

 27日、東京地裁で松本に判決が言い渡される。一連のオウム事件で多大な影響や被害を受けた人たちのその後を追う。

(本文中は敬称・呼称略)

(朝日新聞2004年2月22日朝刊紙面)

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