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【「オウム教祖」判決】

4:被害者 サリン、続く後遺症


治療「国は補償を」


サリン後遺症が残る妹のリハビリを手伝う兄
サリン後遺症が残る妹のリハビリを手伝う兄

 藤井フミヤの歌声が一日中流れている。その部屋のベッドの上で、元会社員の女性(40)はほとんどの時間を過ごす。

 地下鉄サリン事件で重度の後遺症を負い、視力と体の自由を失った。病院からは「残念ながらこれ以上の回復はない」といわれ、昨秋、8年半に及ぶ入院生活を終え、自宅に帰ってきた。

 話すこともままならない。記者が訪れた時、やっとのことで絞り出したのが「フミヤくん、会う」という言葉だった。

 事件前からファンだった。退院直後、コンサートに行って一緒に撮った写真が宝物だ。「そのときの思い出が忘れられないんでしょう」。一緒に住む兄(44)が話した。

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 妹の介護は、主に兄の妻(43)が背負う。着替えやおむつの交換。風呂は月4回で、施設から来てもらったり、連れて行ったり。外出する時はヘルパーを呼ぶ。

 兄もリハビリを手伝う。立ち上がらせる運動をしないと体の筋肉が固まってしまうという。

 家には年老いた両親もいる。母は足が不自由だ。負担が重くのしかかる。

 加害者は、国の費用で拘置所や刑務所で暮らす。なのに被害者には補償がない。兄は言う。「妹は、国の官僚機構を狙ったテロの犠牲になった。衣食住は最低限、国が保障すべきだ」

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 被害者でありながら松本サリン事件で当初、犯人と疑われた河野義行(54)は今も微熱が消えない。妻の澄子(55)はずっと重い。寝たきりのまましゃべることもできず、療護施設で暮らす。

 出張時を除き、毎日、妻の顔を見に行く。マッサージや髪の手入れをしながら、その日あったことを話しかける。「目を開けたりする。表情があるからここに来る張り合いがある」

 この2年で死の危険が4度あった。02年3月に水頭症、同年12月には食事が肺に入り込んだ。昨年11月には、たんがからんで呼吸困難になった。緊急入院して一命はとりとめたが、鼻から食べ物を注入できなくなり、今は管で直接、栄養を胃に入れる。

 今年1月にも呼吸不全で緊急入院した。離れて暮らす3人の子に頼んだ。「生きているうちにもう一度来て、話をしておくように」

 重度の身体障害者として認定されたため、事件直後ほどの費用はかからない。それでも1年で100万円を超える出費。犯罪被害者給付金は受け取ったが、400万円程度で、療養にかかる費用には足りなかった。

 「今の教団に請求しても、つぶれた会社に負債を負わせるようなもの。やはり都道府県や国が税金の中からまかなうべきだ」

 サリン被害者を対象にした公的支援はない。被害者たちは、経済的にも追い詰められている。

(本文中は敬称・呼称略)

(朝日新聞2004年2月25日朝刊紙面)

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