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国会ネット観戦急増 失言・カネ質疑がアクセス上位

2011年1月14日13時2分

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 インターネットで国会審議の中継を見る人が急増している。民主党の「政治とカネ」問題や閣僚の失言を野党が激しく追及した日はアクセスが特に多い。新聞やテレビに飽き足らなさを感じるネット利用者が増えているようだ。

 「そろそろ危ないですね」。昨年11月18日、国会ネット中継の保守・運用をする業者から参院事務局に連絡が入った。アクセスが急増し、回線がパンクするおそれがあるという知らせだ。

 この日の参院予算委員会では、柳田稔法相(当時)の「二つの言葉だけ覚えておけばいい」発言と、仙谷由人官房長官の「暴力装置でもある自衛隊」発言を、世耕弘成氏(自民)や丸川珠代氏(同)らが追及した。

 事務局は、映像の画質を一時的に落として同時接続できる回線数を増やすよう業者に指示。この日以降の予算委員会も同様の対応でパンクを回避した。

 ネットの国会中継は、質問者と答弁者との間で過激な応酬があるとライブ、ビデオともにアクセス数が伸びる。衆参の事務局によると、ライブとビデオをあわせたアクセス総数は2009年の衆院が年間約379万件、参院が約205万件だったが、10年は11月末までで衆院が約602万件(約1.6倍)、参院が約769万件(約3.8倍)と急増した。

 一方、ビデオリサーチの関東地区の視聴率データをもとに、朝日新聞がNHK国会中継の年間平均視聴率を算出してみると、10年の衆院予算委員会は3.2%(前年比0.2ポイント減)、参院予算委員会は2.8%(同0.2ポイント増)で、ほぼ横ばい。国会中継視聴者の増加はネット特有の現象だ。

 ネット視聴者の関心はどこにあるのか。

 参院事務局が集計した日別のアクセス数でみると、民主党議員の政治とカネ問題や失言を自民党など野党が責め立てた予算委員会が上位だった。激しい質疑のあった日にネットで国会審議を見る人がアクセス数を押し上げている。ただ、衆参の事務局は「何の情報を頼りにアクセスして来ているのかまではわからない」という。

 参院予算委員の有田芳生氏(民主)は「ツイッターやブログといったネット上の情報をもとにアクセスしているのでは」と分析する。有田氏が「委員会質疑をブログに書きました」とツイッターでつぶやくと、直後からの1時間で700件近いアクセスがブログにあり、ネットで国会質疑を見た感想を送ってくる人もいたという。

 参院アクセストップ5のうち、四つで質問した西田昌司氏(自民)の事務所もツイッターで国会の質問情報を流している。昼間、仕事をしていてテレビ中継を見られない若い世代の支持者から「ネットでビデオを見ました」と声を掛けられたり、メールが送られてきたりするという。

 西田氏は「ネットは『報道されてない部分も全部見たい』という欲求を満たしてくれるのだと思う」と話す。(高田英)

     ◇

 〈国会のインターネット審議中継〉本会議や委員会など、衆参両院のすべての国会審議をネット配信するサービス。民間ネット事業者にも映像を提供している。リアルタイムで中継する「ライブ」と、数時間後から録画映像が見られる「ビデオ」があり、ビデオで見る人がライブよりも5〜10倍多い。

     ◇

 吉本興業元常務でフリープロデューサーの木村政雄氏は、「事業仕分けのネット中継で国会議員の質疑の面白さに気づいたのではないか」と受け止める。アクセスが簡単で編集されず、中継を見ながらネット上で意見交換もできる点が、若いネット利用者の感性に合ったと見る。「キャラの立った鳩山さんや仙谷さん、『最強の悪役』小沢一郎さんもおり、国会がプロレス化している。確かに面白いが、楽しんでる場合じゃない」とも。

 河田潤一・大阪大大学院教授(政治学)も、ネット中継は若い有権者と政治の距離を近づける役割を果たしていると考える。「官僚がダラダラ答弁した以前の国会より、政治家の刺激的な発言が飛び出す最近の国会は見ていて飽きないし、政治参加への訓練につながるのであれば評価できる」。一方で、「娯楽性ばかりに注目したりしてしまうと、スポーツ観戦とかわらない。政治が矮小(わいしょう)化されるおそれがある」とも指摘する。

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