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八ツ場ダムの建設再開決定 民主マニフェスト総崩れ

2011年12月22日23時30分

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写真拡大八ツ場ダム建設再開を表明する前田武志国交相=22日夕、東京・霞が関、山本裕之撮影

 前田武志国土交通相は22日、八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の建設再開を表明した。2012年度予算案に、凍結していたダム本体工事費を計上する。地元の意向を踏まえた判断だが、八ツ場ダムの建設中止は、民主党の09年の衆院選マニフェストの象徴。高速道路無料化や議員定数削減などと並び、主要公約は総崩れ状態になった。

 国交省はこの日の政務三役会議で、工事再開と本体工事費の予算案への計上を決定。前田氏は直後の閣僚懇談会で野田佳彦首相に決定内容を伝え、事業費を負担する1都5県などの関係自治体にも報告した。記者会見で前田氏は「マニフェストの結果通りにならなかったのは残念だが、苦渋の決断をした」と語った。そのうえで「効果のある代替案のないまま中断するのはよくない」と指摘。総事業費4600億円のうち、周辺工事に全体の8割近くが投じられていることを踏まえ、「あとは本体工事で、6、7年で完成する」と理解を求めた。

 前田氏はその後、ダム予定地の長野原町を訪問。地元自治体の首長らに建設再開を報告した。

 民主党は政権交代直後、当時の前原誠司国交相が建設中止を宣言した。これに関連自治体が反発し、後任の馬淵澄夫国交相は「予断なく再検証する」と軌道修正した。国交省は今月になって、八ツ場ダムは河川改修などの代替案に比べて安上がりで「建設継続が妥当」との報告をまとめた。

 ただ、「コンクリートから人へ」を掲げて政権交代を果たした党内には建設再開への抵抗感が強い。野田首相が消費増税に「不退転の決意」で取り組む一方で、大型公共事業を再開するのは国民の理解を得にくいからだ。建設中止を宣言した前原氏は、党政調会として反対の意向を打ち出し、藤村修官房長官と断続的に調整を続けてきた。

 藤村氏は22日、前原、前田両氏と個別に会談。国交省に利根川水系の河川整備計画の策定と、ダムを中止した場合の生活再建の法律づくりを求めたうえで、ダム本体工事の再開を認める「官房長官裁定」を示し、「両氏とも一言一句、受け入れた」(藤村氏)という。

 だが、前原氏は22日の記者会見で「整備計画や生活再建の法律ができていない段階で、ダムを進める判断はできない」と述べ、国交省を牽制(けんせい)。来年度予算案にダム本体工事費を計上した場合、「国交省の予算は認めない。閣議決定させない」と反発した。

    ◇

 〈八ツ場ダム〉 1947(昭和22)年のカスリーン台風で利根川が決壊し、死者約1100人の被害が出たことから群馬県長野原町で計画が浮上。温泉街が水没する地元は85年、地域振興を条件に建設を受け入れた。総事業費はダム事業で国内最高の4600億円。3月末までに3558億円が使われた。用地取得は87%、家屋移転は予定の90%を終えている。完成予定は15年度。国土交通省は建設が再開された場合、完成は3年遅れるとの見通しを明らかにしている。地滑りや代替地の安全対策がさらに必要で、事業費は膨らむ可能性がある。

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