野田佳彦首相は22日、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働に反対する市民団体のメンバーと首相官邸で面会した。首相は「基本的な方針は脱原発依存だ」と述べる一方、再稼働の中止など団体側の求めには応じず、話し合いは平行線に終わった。
面会したのは、首相官邸前で毎週金曜日を中心に抗議活動を続ける13の市民団体と個人による連絡組織「首都圏反原発連合」のメンバーら10人。仲介した菅直人前首相も同席した。団体側は大飯原発の停止のほか、すべての原発の運転を再開させず廃炉にするよう要求。新設する原子力規制委員会の人事案も「原子力事業者に直接関わっている」として撤回を求めた。
首相は大飯原発の再稼働について「安全性を確認し、国民生活への影響などを総合的に判断した」と説明し、規制委の人事案も「国会が判断する」と撤回に応じなかった。今後のエネルギー政策は「中長期的に原子力に依存する体制を変えることを目標にしている」と述べ、脱原発依存の方針に理解を求めた。だが、団体側は「承服しかねる」と反発し、面会は30分で終わった。
終了後、藤村修官房長官は会見で「連合体のみなさんとの話はこれで終わった」との認識を示した。一方、団体側のメンバーの一人は「時間も短く不完全燃焼というか消化不良。要求が通るまで何らかの抗議をしたい」と話した。
面会は団体側が繰り返し要請。首相は当初、「前例がない」と断ったが、抗議活動が拡大していることに加え、菅前首相の働きかけもあって方針転換した。
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■面会での発言のポイント
市民団体側
・関西電力大飯原発再稼働の中止、停止中の全原発を再稼働させない、全原発廃炉への政策転換を要求
・原子力規制委員会の人事案撤回も求める
野田首相
・政権の基本方針は脱原発依存
・大飯原発再稼働は安全性を確認して総合的に判断した
・規制委人事は国会が判断する
・中長期のエネルギー政策は様々な意見を聞いて判断