民主党による政権交代から3年余り。各界の識者に今回の解散を名付けてもらい、総選挙で何が問われるかを尋ねた。
「衆議院の解散であると同時に、党の代表が負けを覚悟し、党の解散を公言したとも受け取れる。ダブル解散だ」。漫画家のやくみつるさんはこうみる。
首相が14日の党首討論で解散条件に議員定数削減を挙げたことについても「国民に何かを問いかける最後のチャンスに、どうでもいいことを持ち出したと感じた」と指摘。有権者も問われているとし、「政治家が争点を出さないなら、投票する側はブームに乗らず、情に流されず、争点を整理しなければ」と語る。
経済アナリストの森永卓郎さんは「首相は最初から民主党を壊す気だったのでは。原発再稼働や消費増税で仲間を次々と切り、最後の大粛清が解散だ。民主党切り捨て解散。もっと言えば、自爆テロ解散」とみる。
既成政党に日本維新の会や太陽の党といった新党が挑む選挙構図については、「民主党が自民党より右派になり、第三極はもっと右派。保守対リベラルという対立構造が消え、国民にとって選択肢のない選挙だ。遠くない時期に日本が戦争に巻き込まれるかもしれない」と危機感を募らせる。
ジャーナリストの江川紹子さんは「今回の首相の手法は賛否が分かれるだろう」としつつ、「密室の対極にある解散」と名付けた。
総選挙では、福島第一原発の事故を受けた長期的なエネルギー政策のほか、国際的にも存在感が低下し続ける産業や外交の方向性をどう定めるかなど、重要課題が問われると指摘。「人気比べではなく公約の裏付けを冷静に吟味し、ハートより理性に基づいて投票に臨みたい」と語る。
「抜き打ち解散」と名付けたのは、反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さん。東京都知事を突如辞職して新党結成に動いた石原慎太郎氏の例にも触れつつ、「相手に準備をさせない代わりに、自分も態勢を整えないまま表明してしまった」とみる。
ただ、湯浅さんは「突然の解散表明だが、今後10〜20年の国の根本的なありようが問われる総選挙になる」とし、「従来通りの経済成長を目指すか、少子高齢化のなかで支え合う共助の社会を実現するか。重要な岐路になる」と話す。
「政党間の対立軸が見えないまま、首相は解散を決めてしまった」と嘆くのは、元モルガン銀行東京支店長の藤巻健史さん。「TPP(環太平洋経済連携協定)や議員定数削減も大事だが、国の根幹にかかわる問題を掲げてほしかった。枝葉の問題ばかりが目につく焦点ぼけ解散だ」
藤巻さんは、間近に迫る国の財政破綻(はたん)こそ最大の問題だと指摘。「財政危機につながる赤字国債発行が政争に利用された。ポピュリズムに走る政党のあり方も問題だが、こんな論争回避は米国ならありえない」と批判する。