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夏延長…9・10月も気温高め 熱中症、人だけじゃない

2010年8月23日3時0分

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写真猛暑で混雑する「としまえん」のプール。22日の入場者は1万6千人を超え、今年2番目の入りだった=東京都練馬区、西畑志朗撮影

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 この夏の記録的な猛暑は、稼ぎ時の家電やビールなどの業界には「特需」をもたらした。一方で、果物は実りが悪くなり、人や家畜は弱る一方――。世界的に異常気象を起こすとされる「ラニーニャ現象」が発生した影響で、暑さはまだしばらく続きそうな気配だ。

 今年の夏は3回にわたって猛暑のピークが到来した。7月中旬の梅雨明け直後、今月上旬と、16〜18日ごろで、17日までに最高気温が観測史上1位を記録した地点は、北海道や東北、関東、山陰、四国などの計47地点に上った。東京都心では7〜8月の気温35度以上の猛暑日が9年ぶりに8日に達したほか、17日には最高気温が37.2度となり、3年ぶりに37度を超えた。

 気象庁によると、日本付近を流れる偏西風が北側に蛇行し、太平洋高気圧の勢力を強めているのが記録的な猛暑の原因だ。さらに、同庁は10日、前回(2007年春〜08年春)以来約2年ぶりにラニーニャ現象が発生したとみられると宣言した。

 前回は07年8月に岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で74年ぶりに記録を更新する最高気温40.9度を観測するなど、全国的に記録的な猛暑になった。9月も月間の平均気温が西日本で平年に比べ2.7度、東日本で2.1度高くなった。同庁は今回も9月、10月は全国的に気温が平年より高くなるとみている。秋の訪れは遅く、全国的に残暑が厳しくなると予想する。

■涼呼ぶ商品、大盛況

 昨年は冷夏に泣いたエアコン商戦だが、今年は盛況。7月の販売台数が前年比1.5倍だったシャープは、残暑が続く8月は同1.8倍を見込む。三菱電機も売り上げがピークだった7月第4週は前年の3倍。「エコポイントの恩恵がたくさん享受できることもあり、高価格の大型器が売れた」という。

 扇風機も好調で、東芝ホームアプライアンスの7月の出荷量は前年の約1.5倍だった。

 冷蔵庫も売れた。パナソニックの7月と8月2週目までの量販店での販売台数は前年同期比46%増。「暑いと冷え方が悪くなったと感じる人が多いので、冷蔵庫も売れる」のだという。

 「暑ければ暑いほど売れる」ビールも絶好調。アサヒビールは、主力のスーパードライを零下2度に冷やして飲む新しい飲み方が人気を集めた。連日行列が出来ている東京・銀座の専用バーは、営業期間を当初より1カ月延ばして9月末までにした。

 勢いは、飲んでも車に乗れる「ノンアルコールビール」にも波及。お盆を前に一気に需要が伸び、サントリーの「オールフリー」は販売一時休止に追い込まれた。高速道路のサービスエリアでも販売され、帰省客らにも人気だったキリンビールの「フリー」は、年間販売目標を年初計画より2割増やした。

 意外な得をしたのが神戸製鋼所。ビールや清涼飲料水向けのアルミ缶を生産するが、飲料人気のあおりで一時は生産が追いつかないほどになった。

 売り上げの低迷が続くコンビニ業界は「猛暑特需」で、主要10社の7月の既存店売上高が、14カ月ぶりに前年同月を上回った。主力の飲料のほか、ざるそばや冷やし中華、おにぎりも好調だった。

 夏といえば、アイスキャンディー。井村屋製菓(本社・津市)は「あずきバー」の7月の売り上げが前年同月比3割増で、年間で初の2億本突破が視野に入ってきた。一方で、売れすぎで困っているのが、年間売り上げが約2億4500万本と日本一の「ガリガリ君」。製造元の赤城乳業(埼玉県深谷市)によると、7月の売り上げは同65%増。工場をフル稼働しても、注文に追いつかない状態が続いている、という。

 猛暑でエアコンの使用が増えたことなどから、電力10社の7月の家庭向けの電力販売量は過去最高を更新。猛暑だった04年以来、6年ぶりだ。8月に入っても残暑から電力消費は伸び続けており、1日あたりの使用電力量は四国で過去最高を更新した。

■動物もバテバテ

 しかし、暑さで恩恵を受ける人ばかりではない。

 果物は、春の受粉期の低温と今の猛暑で全般的に実りが悪く、品薄状態が続く。青果卸売業大手の東京青果によると、大田市場の8月の梨の入荷量は2割減、果物全体でも1割減っている。

 茨城県のJA常総ひかり下妻地区センターでは、関東各地の市場担当者5、6人が毎日選果場を訪れ、発注通り確実に出荷されるか確認するようになった。センターの上野博樹さん(47)は「毎日、温度計とにらめっこ。早く秋が来てほしい」と気をもむ。

 動物たちはへとへとだ。中央酪農会議によると、乳牛がばててしまい、8月上旬の牛乳の生産量は関東地方で前年の95%、東北地方は93.6%に落ちているという。牛舎に扇風機を入れたり、水を散布したりしているが追いつかない。「分娩(ぶんべん)にも影響が出ているし、残暑が続くとまずい」

 ペットもばてる。埼玉県熊谷市の「アニマルクリニックかずね」にはこの夏、週に3件ほど熱中症の「患者」が来る。上林一根院長は「留守番させる時も、窓を開けたりクーラーをかけたりしてあげてほしい」。

 涼を求める人はプールに殺到。東京サマーランド(東京都あきる野市)に今年オープンしたプールのスライダー「タワーズロック」には、連日行列ができ、待ち時間は2時間半から3時間にもなる。7月1日から8月19日までに訪れた人は38万人。冷夏の昨年と比べると25%も増えた。

 としまえん(東京都練馬区)のプールにも人の波が押し寄せた。8月だけで前年比で10%増の16万3千人が訪れている。熱中症対策で、5〜10分置きに園内放送で注意を呼びかけている。

     ◇

 〈ラニーニャ現象〉 南米ペルー沖から太平洋中央部の赤道域で海面水温がいつもの年より低くなる現象。世界的に異常気象を起こすとされる。東風がいつもの年より強くなり、ペルー沖の深海の海水が上昇し、水温が下がる。暖かい海水が西側に吹き寄せられるため、インドネシアやフィリピン付近で海水温が高くなる。その結果、平年より活発になった上昇気流が、日本の南に下降して太平洋高気圧を強めるという循環をつくる。日本では、夏から秋の初めにかけて全国的に高温になる傾向がある。

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