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琉球語守る助っ人登場 言葉よ、よみがえれ―5

2009年6月5日15時28分

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写真「琉神マブヤー」のキャラクターショーは沖縄の子どもに大人気=マブヤー企画提供

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 「唐(とー)から御(う)ちぇーんしぇーる左按司(ふぃじゃいあじ)・右(にじり)按司、冊封使(さっぷうし)、敬(うやま)てぃ」(唐からおいでになった正使・副使、冊封使を敬って)

 5月下旬、沖縄県立博物館の「しまくとぅば(島言葉)解説ツアー」に約20人が参加した。琉球王朝の展示を前に、王宮があった首里出身の宮里朝光さん(84)が島言葉で説明する。冗談に笑うお年寄りに対し、若者は何とか聞き取ろうと神妙な表情だ。

 奄美と琉球諸島の言語の総称である琉球語に詳しい琉球大の狩俣(かりまた)繁久教授は「30代は琉球語を聞き取れても話せず、20代以下は聞き取りも危うい人が多い。親になる世代が話さなければ伝わらない」という。

 県は06年、琉球語衰退への危機感から「しまくとぅばの日」を条例で設け、様々な催しを開いている。その一つが冒頭の博物館のツアーだ。

 県立美術館は昨秋、しまくとぅばをテーマに現代アート展を開催。パフォーマンスを披露した比嘉陽花さん(26)は沖縄育ちだが、19歳から琉球語を学んだ。「琉球語だから感じる豊かな世界がある。でも私たちの世代には、琉球語が学びの対象だという空虚感も避けられない」と話す。

 子ども向けには、意外な助っ人が現れた。変身ヒーロー「琉神マブヤー」だ。

 マブイは琉球語で魂を、悪役マジムンは魔物を指す。必殺技「スーパー・メーゴーサー」はげんこつの意味。昨秋、沖縄で放送されて人気を呼び、県内各地で開くショーは親子連れでにぎわう。

 元々は、土産品卸会社の社長が「沖縄の文化を盛り込んだヒーローを」と企画。プロデューサーの古谷野裕一さんは「『メーゴーサー』でしかられた親世代に受けた。子どもに琉球語を教えるきっかけになっている」と話す。

 学会でマブヤーを紹介したこともある沖縄国際大の西岡敏准教授は「琉球語への関心を高める」と評価する一方で、新たな懸念も出てきたという。「残すべき琉球語とは集落ごとに800ともいわれる琉球諸言語のどの言葉なのか。メディアや教科書で枠にはめることで、かえって多様性が失われないだろうか」

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)が、沖縄本島北部の「国頭(くにがみ)語」など県内の5言語のみを「独立した言語」とみなしたことへの違和感も、沖縄の言語学者の間にはある。言語と方言の境界線があやふやというのだ。形をもたない言語は、かくも繊細な存在なのである。(小川雪)=「言葉よ、よみがえれ」終わり

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