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交易の街、夜ごと劇場 モロッコの広場から―1

2009年7月14日21時57分

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写真手足をくねらせ不思議なポーズをとる大道芸人=アフメド・ベンイスマイル氏撮影

写真金属製カスタネットを使ってにぎやかな「グナワ」の音楽団=アフメド・ベンイスマイル氏撮影

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 夜が更けるに連れにぎわいを増す。それが盛り場の常だが、「ジャマ・エル・フナ広場」の夜はひときわ華やかだった。大道芸人や物語の語り手、音楽団、物売りたちの声と音が交錯し、広場全体が劇場と化す。

 広場があるのはアラブ世界の西の果て、モロッコの古都マラケシュの中心部だ。はるか南方に望む4千メートル級のアトラス山脈を隔ててブラックアフリカとの交易で栄え、多くの西欧人も訪れた。11世紀に街が形成されて以来、三つの世界の交差点だった。

 今、広場が大衆的で多様な芸にあふれているのも、様々な民族と文化を受け入れたからだ。85年世界遺産に、08年無形文化遺産に登録された広場を夕暮れ時に歩き、人込みに溶け込んでみた。

 金属製カスタネットや太鼓でにぎやかなリズムを刻むのは、ブラックアフリカが起源の音楽「グナワ」の一団。サイード・ダメルさん(41)は音楽歴30年あまり。音楽団を率いて愛知万博にも参加した。

 夜が更けると、グナワに代わってモロッコ伝統音楽が広場の音を支配する。ギターのような楽器に合わせて朗々と歌う。猿回し、蛇使い、物語の語り手、演劇団、曲芸団と、芸人は総勢460人に上る。食料品から土産物、怪しげな薬まで地面に広げて売る人や、搾りたてオレンジジュースを売るスタンド、香辛料のきいたエスカルゴの煮物を食べさせる屋台も。

 芸を楽しんだ市民は1〜2ディルハム(約10〜20円)を投げる。もっとも、欧米人観光客は10倍ほどを要求される。また、盛り場の常として、広場にはスリもいれば、物ごいもいる。「本来ここは怪しげな場所。多くの市民は、自分の子どもに『広場に行っちゃいけない』とくぎを刺す。それでもみんな、楽しいから行きますけどね」。地元の文化人類学者アフメド・スコンティ氏(43)は苦笑した。

 昔ながらのにぎわいぶりの広場にも、近年変化がうかがえる。広場の現状を見るとともに、過去を訪ね、未来を語り合った。(マラケシュ=国末憲人)

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