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 安倍政権が進める大きな柱の一つが「地方創生」だ。工場の海外移転で製造業に関連する地方の産業は苦境に陥り、高齢化や人口減少が追い打ちをかける。地方を立て直すことができるかどうかは、日本全体の成長を左右するものでもある。公共事業や企業誘致といった過去の地方活性化策とは違った方策はあるのか? 地方創生担当相の石破茂さんに夏野剛さんが聞いた。【前回はこちら】

2015年5月14日

構成/安井孝之 写真/竹谷俊之

政権交代に意味はあった

写真 石破茂(いしば・しげる)氏 1957年生まれ、鳥取県八頭町出身。慶大卒業後に三井銀行(現三井住友銀行)入行、1986年に衆議院議員選挙で初当選。防衛大臣や農林水産大臣を歴任し、自民党幹事長も務めた。鉄道マニアとしても知られている。

夏野 日本の改革は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までが勝負だと思います。この5年でできることは何ですか。

石破 まずは国民運動的な意識改革を進めることだと思います。政治状況としては、我が党が強いというよりも他党が弱いため、長期政権になる可能性が十分あります。そこで「権力の座にあって楽しいな」ということであってはならない。政権の座にあるというのは目的ではなくて手段ですから、政権の座にある時期だからこそ、矢を打とう、的を射ようと考えています。

夏野 ただ心配なのは強い長期政権になってしまうと、昔の自民党が復活して、公共事業のばらまきをまた始めることです。大丈夫でしょうか。

石破 自民党は大きく変わったと思います。私は自民党が野党になった時の政調会長、末期は幹事長を務め、政権復帰後、そのまま与党の幹事長になりましたが、野党の3年間というのはただただ反省の日々でした。

夏野 それほど野党時代の、あの3年の経験は大きかったんですか。

写真 夏野剛(なつの・たけし)氏 1965年生まれ。慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授。NTTドコモ時代に、「iモード」「おサイフケータイ」などの多くのサービスを立ち上げた。ニコニコ動画のドワンゴの取締役もつとめる。

石破 大きかったです。

夏野 でも3年経って、落ちていた人もたくさん戻ってきたんじゃないですか。

石破 そうですね。でも野党時代の3年の間は、なぜ自民党は下野したのかと日々みんなで考えました。結果、あまりに長く政権の地位にあったので、国民の感覚とずれたのだろうと、これはもう反省の日々でした。

 そのときに私が政調会長として思ったのは、いま数多く残っている日本の問題は、すべて自民党が先送りしてきたことなのじゃないか、ということです。あまりに我が党がダメだったので民主党が政権をとってしまった。であれば、我々が先送りしてきた課題を解決するためにこそ政権に戻るのだ、ということを自民党内で徹底して議論しました。

夏野 意識改革が大きく行われたってことですか。

石破 その通りです。そこに安倍さんという総裁を得て、とても多くの議席を獲得した。ですから幹事長時代も今も言っているのは、あの3年間は思い出したくもないが、あれを忘れたら、自民党はもう終わりだ、ということです。

進めないと国がつぶれる

夏野 政権交代に意味はあったんですね。

石破 代償は大きかったですが、意味はありました。

夏野 ということはこの5年間で、いろんなことが進むとみていいですか。

石破 進めないと国がつぶれます。これまでも国がつぶれていいとは誰も思ってなかったけれど、よもやつぶれるとも思っていなかったでしょう。

夏野 でも国がつぶれるかも知れないことが、現実の問題になってきたということですね。最近、心を変えた自民党が政治をやっていると面白いことが起きていると思います。日本の政界と経済界というと昔から経済一流、政治は二流とか言われました。

石破 政治は三流でしょう。

夏野 でも今は政治の方が先いっているように見えます。例えば社外取締役の導入問題。政府が社外取締役の導入を義務付けると言うと、経済界から反対が出る。こういう構図がいろんなところにある。「会社を変革しなさい。競争力がなくなるよ」と政府が言う。普通は企業が自分のために変革する、と言わないといけない。つまり意識が政の方が先に進んでいるように見えます。財の方が遅れている点があちこちにある。こういう状況をどう見ていますか。

写真

石破 経済界には政権交代がないからでしょうか(笑)。

夏野 つまり競争戦略が機能していない。僕は日本航空にはなんの恨みもないですが、政府はJALをやっぱり救いました。

石破 まあ、民主党政権の時でしたけれども。

夏野 もしもJALがあのまま倒産していたら、スカイマークは今回破綻(はたん)しなかったかも知れない。

石破 「たられば」の話にはなってしまいますが。

夏野 これからはもっと競争の概念を入れていかなければいけないと思います。

石破 経団連や日本商工会議所などの経済団体とお話しさせていただく機会もそれなりにありますが、ひょっとしたら経済界は永田町よりコンサバティブ(保守的)かもしれないと思うことがないわけではありません。でも、これからは政だの民だの言っていられないのです。それぞれの立場で、どうやって人口を増やすか、どうやって地方を活性化させるか、全力を挙げて考えなければならない。

 だからこそ、例えば企業の地方移転について、どうしたら多くの企業さんが地方に拠点を移転していただけるしょうか、政府としてどういう環境整備が必要と考えているか教えて下さい、と申し上げているわけです。東京一極集中という現象は、政府が政策として行った結果ではありません。そこには民間の選択としての理由があるはずです。それをどうやって変えてゆくか。また、政府挙げて少子化問題をなんとかしようと考えているけれど、御社においても子育てのしやすい環境を整えてください、ということもありますよね。

写真

 ことほど左様に今、国が抱えている課題には、政府だけでは解決できないものがたくさんあるのです。ワーク・ライフ・バランスなど、経済界に検討いただくこともいっぱいあるでしょう。いまは検討をお願いしている段階ですが、今後は解決策を見いだしていかなければならないと思います。経済界からのご報告をお待ちしている段階です。

夏野 政府も経済界を便利に使ってきたのだと思います。どんどん新しいプレーヤーが出てきたら、政官業のトライアングルをかき乱しますからね。何人もソフトバンクの孫正義さんのような方が出てくると大変ですが、出てこないので、なれ合いでやってこられた構図があった。

 結果としてこの20年間で全世界の経済規模は3倍になっているのに、日本は2%しか成長していない。これは反省しないといけない。

朝日新聞 金融取材チーム Twitter

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