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 8月24日、長野県・軽井沢に日本にはこれまでなかった新しい形の学校が誕生しました。「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢」(ISAK)。全寮制で日本人だけでなく、アジアや南米、欧米など世界各国からやってきた多様な若者が学びます。育てたいのは世の中をより良い方向に変えてゆく「チェンジメーカー」。学校づくりに奔走してきたISAK代表理事の小林りんさんに学校建設に向けた抱負を聞きました。【前回はこちら】

2014年9月8日

構成/安井孝之 写真/竹谷俊之

官僚が教えてくれた「抜け道」

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小林りん(こばやし・りん)氏 1974年生まれ、東京都出身。学校法人インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)の代表理事。高校を中退しカナダのインターナショナルスクールに留学。東大経済学部卒、米スタンフォード大教育学部修士課程修了。国連児童基金(ユニセフ)ではフィリピンの貧困層教育にかかわった。

夏野 開校までにはいろいろ苦労あったでしょう。まずは官僚の規制の壁とか。

小林 官僚というよりも、いろんなルールが障害になったのは確かです。でも逆にびっくりしたのは、文部科学省の人がどうやったら現行制度の中で私たちがやりたいことを実現できるかを教えてくれたことです。例えば、ここは9月入学です。大学は別ですが、学校教育法(施行規則)には4月入学と書いてあります。どう考えたって9月入学は無理なのですが、これもクリアできました。

写真 夏野剛(なつの・たけし)氏 1965年生まれ、49歳。慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授。NTTドコモ時代に、「iモード」「おサイフケータイ」などの多くのサービスを立ち上げた。ニコニコ動画のドワンゴの取締役もつとめる。

夏野 ここのインターナショナルスクールは日本の高校卒業の資格が取れるんですよね。

小林 文科省の認可を受けている初めてのインターナショナルスクールです。一般的には各種学校とか専門学校扱いなので大学受験をするときには高卒認定試験を受けなければいけないのです。しかし、ISAKを卒業すると日本の高校卒業と同等の資格を得られます。

夏野 どうしたのですか。

小林 9月入学にしようとしたら全日制高校はダメですと言われました。でも、日本には「単位制高校」というのがあります、と教えてくれました。例えば、事情があって全日制を中退した生徒を受け入れる高校や夜間制の高校では、単位制の学校があります。単位制の学校では、いつ入学、卒業しても、単位がそろえば、校長先生の一存で、卒業となります。たまたま全員9月に入学して、たまたま3年後の6月に卒業する、というのであればOKですよ、と文科省の方が示唆して下さったのです。

夏野 ナイスな官僚がいるね。

小林 先生の教員免許も問題でした。先生は9割ほどが外国人です。日本の教員免許は持っていません。通常は日本の教員免許を持ってないと、正教員になれません。でもよく教育職員免許法を読むと「特別免許」というのがあるのです。長野県なら長野県教育委員会が認めれば10年単位で免許がとれます。ISAKの外国人の先生はみんなこの制度で教員免許をとりました。長野県と長野県の教育関係者のみなさんの多大なるご尽力のおかげです。

夏野 すばらしい。実は抜け道の仕組みはあったのですね。やろうと思えばできたんだ。だれもやっていなかっただけなのですね。

小林 何も法律を破っているわけではないんです。いろんなものの寄せ集めです。ウルトラCやBとかを寄せ集めてできちゃいました。

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リーマン・ショックがあったから

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夏野 ISAKの発想に多くのサポーターがいたのですね。

小林 こういう教育があったらいいなって思っている方、おっしゃっている方、書かれているペーパーはたくさんあったけれども誰もやらなかった。みなさんが元々考えていらっしゃったものが、実際はじまりそうになると、加担してくださった。夏野さんにも最初のころから応援していただきましたが、どうしてですか?

夏野 僕はアメリカの大学院で、アメリカの教育を受けました。向こうの教育はすばらしい、役に立つな、と思う一方で、じゃあ、まともな教育を受けたい人はみんな外国に行かなければならないのかと。日本でもそういう教育ができないと、日本がまずい。これにトライするなら応援しなきゃ、と思ったのです。

小林 でも、正直、最初の時点では勝算が低かったと思いますが。

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夏野 それはベンチャー投資と同じです。極めて大事なことは創業者の熱意です。小林さんに熱意があったからですよ。

小林 すみません。当時は、熱意しかなかったんです。

夏野 うまくいかなくてもなんとか生き延びるだろう、完成するまでには、いろんなことがあるだろうけれど、なんかを実現するだろうな、と感じたのです。

小林 この学校ができないとは自分では思ったことがなかったです。でも振り返ったら、あのころって何にもない。サマースクールははじめましたが、学校といえる次元じゃない。許認可もない、場所も決まっていない。

朝日新聞 金融取材チーム Twitter

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