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〈ネットはいま〉第1部―4 自宅が見える

2008年11月10日14時18分

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写真繁華街や自宅の周辺も…。ストリートビューを開けば、ネットの向こうに現実の風景が見える=東京・渋谷、長原匡史撮影

 横浜市内の住宅街。8月下旬、変わった乗用車がとまっていた。屋根には支柱。高さ約2.5メートルの所に特殊なカメラがついていた。車体に英字で「グーグル」と書かれたステッカー。

 グーグルは同月初め、ネット上の地図で、道路沿いのパノラマ写真が見られるサービス「ストリートビュー(SV)」を公開。街の中を歩き回っているような面白さが話題になった。

 同時に、映った人や家の様子が「プライバシー侵害」と批判が起きた。そして通行禁止の標識がある場所や、私道から撮影した事例も。

 「公道と私道を区別してるんですか」。近くに住むエンジニアの男性(43)は、運転手に聞いてみた。すると、1枚の紙を手渡された。

 「当該車両にて公道を走りながら、人々が一般の道路で撮影する、または眺めると同様な風景画像を収集する作業を行っております」

 運転手は「ここでは撮っていません」と言い、車は走り去ったという。

 同市青葉区の主婦(41)は公開を知り、SVで自宅を調べてみた。南側の部屋の窓から、室内が見える。不安で、削除依頼を出した。

 東京都町田市議会は10月9日、プライバシーや防犯上の問題点から、国に規制検討を求める意見書を採択した。

 グーグル日本法人は批判に対し、対応を説明してきた。「人の顔はぼかしている」「画像掲載を望まない場合、削除に応じる」。当初の対象は12都市。今後も拡大の見通しだ。

 経済産業省は8月下旬、SVへの不安を訴える数十件のメールを受けたため、グーグルの担当者から話を聴いた。個人情報保護法上、特に問題はみられなかったという。伊藤慎介・情報経済課長補佐(35)は、同様のサービスは次々に現れるだろう、と指摘する。「国が一律に規制すれば、新しい技術の芽を摘む可能性もある」

 意外な使われ方も出てきた。NHKの報道番組は今月5日、1台の黒い車の画像を、SVを使って紹介した。大阪・梅田で、会社員が車に約3キロ引きずられ死亡したひき逃げ事件。その車が過去に撮影されていた。広報局によれば報道のための必要性やプライバシー問題を考慮しつつ、今後もSV使用を検討するという。

 国内企業も動き始めている。PHSのウィルコムなど約50団体でつくるBWAユビキタスネットワーク研究会は、約16万局の基地局と定点カメラなどを使い、静止画からさらに進めた動画サービスも検討中だ。笠原秀一事務局長(38)は言う。「SVやこの計画は、リアルとネットの境界線を越えるサービス。まずは、社会に理解してもらうことが必要だ」(小堀龍之)

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