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〈ネットはいま〉第1部−12 変わらないID

2008年11月19日14時0分

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 携帯電話のネットも、サービスによってはログインが必要だ。だが、パスワードなどを毎回入力するのは面倒。そこで、ボタンを1回クリックするだけでログインできる便利な機能がある。

 この仕組みを支えるのが「契約者ID」。携帯ネットの利用契約を結ぶと、電話番号とは別に、一人ひとりに割り振られるネット用の番号だ。「個体識別番号」とも呼ばれる。アクセス先にIDを送信すると、「本人」だと認証される。

 IDだけでは利用者がどこの誰かはわからない。だがIDをたどれば、これまでどんなページを見てきたかがわかる。携帯ネット広告に使えば、利用者の関心分野だけの広告表示ができる。

 ソフトバンクモバイルはJフォン時代から、KDDIも2000年代初頭からIDを送信。NTTドコモは公式サイト限定だったが、今年3月から一般サイトにも送信を始めた。

 「利用者の利便性が上がり、サービス提供側も利用者の把握が可能になる」とNTTドコモの前田義晃ネットサービス企画担当部長(38)。

 このIDで、問題のある利用者の識別もできる。携帯ネットの健全サイトを認定するモバイルコンテンツ審査・運用監視機構は、サイト側でのID取得を、認定基準の一つにしている。

 ただこのIDは、特別な場合を除き、電話会社が同じなら、端末を買い替えても変わらない。「大半の利用者は、それに気づかず使っているのでは」と国際大学グローコム客員研究員でセキュリティー専門家の楠正憲さん(31)。

 携帯ネットのサイトで、必要もないのに名前や電話番号の入力を求められ、応じてしまったら。「その途端、変わらぬIDと個人情報、それに閲覧履歴が一気に結びつけられる可能性もある」。IDと個人情報が一緒になったデータが流出しても、利用者には防ぐ手立てはない。

 また、「IDから個人情報を把握した」とうその通知をし、料金不正請求に悪用しているケースがあるとして、国民生活センターが数年前から注意を呼びかけている。

 「契約者IDは、欧米のプライバシー保護の水準からはかけ離れていると思う」と楠さん。米国では1999年、半導体大手インテルの中央演算処理装置(CPU)「ペンティアム3」が、ネット利用時などに固有の識別番号を送信する設定だったため、市民団体が猛反発。インテルは設定を変更した。

 「ITとプライバシーに関して、米国では市民団体、欧州では政府が厳しく対応している。だが日本は議論自体がない」と楠さんは言う。

 便利だが、自分では気づかない識別番号が、今もネットを行き交う。(丹治吉順)

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