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〈ネットはいま〉第1部−13 足跡をたどる

2008年11月20日13時48分

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 コンピューターセキュリティーの専門家として知られる産業技術総合研究所の高木浩光主任研究員(41)は、ネット通販の「楽天」が始めた新しい広告システムを調べてみて、驚いた。「利用者が気づかぬうちに、プログラムがパソコンの情報を読み取っている」

 システムは同社も出資する広告サービス会社「ドリコム」が開発、楽天のポータルサイト「インフォシーク」と「楽天ブログ」で使われている。

 高木さんによると、この広告システムは、利用者の閲覧ソフト(ブラウザー)上で、あるプログラムを動かしている。プログラムは、利用者が過去にどんなサイトを閲覧したかを判別。自動車関連のサイトを多く見ていれば、「自動車の広告配信を」と広告サーバーに指示を送る。

 ブラウザーでは通常、利用者がすでに読んだアドレスは紫色、未読は青色で示される。ところが仕様上の欠陥のため、外部からこの「色」の情報を読み取ることができてしまうという。

 高木さんによれば、広告システムは「この欠陥を利用していた」。プログラムには、あらかじめ約2900にのぼるアドレスの一覧が組み込まれていた。アドレスと「色」の情報を照合し、利用者の閲覧履歴を判断するという。

 サーバーに送るのは配信すべき広告種別。閲覧履歴ではない。「だが、利用者のパソコン上で、思いもしない動作をするプログラムを使うことが、許されるのだろうか」と高木さんは話す。

 楽天はこのシステムについて、「プライバシー保護には最大限の配慮をしており、個人情報や閲覧履歴を取得してはいない」とし、機能をオフにすることもできると説明している。ドリコムは「特許出願中なので答えられない」という。

 利用者のネット上の行動を追跡し、関心のある分野の広告を表示する手法は「行動ターゲティング広告」と呼ばれる。利用者の「足跡」を分析し、より高い広告効果を上げる。例えばヤフーは06年からこの広告手法を採用している。

 会員制サイトは利用者のID、それ以外は「クッキー」と呼ばれる小さなファイルを使い、行動を把握する例が多い。こうしたクッキーの利用はプライバシー侵害との見方もあり、多くのブラウザーで簡単に拒否や削除ができる。

 筑波大大学院図書館情報メディア研究科の新保史生准教授(情報法)は「ネット上では、個人情報かどうか判断しにくい微妙な情報が、大量に収集されている」と話す。それだけに、「どんな情報を収集しているのか、事業者はわかりやすく明示する必要がある」。

 「足跡」をたどる新技術は、次々に現れ、そして見えにくくなっている。(丹治吉順)

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