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〈ネットはいま〉第1部―14 好きかもしれない

2008年11月21日14時32分

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写真ジュピターテレコムはビデオ・オン・デマンドにレコメンドを採用。好みの傾向に合わせて作品が「おすすめ」される

 六本木ヒルズ33階。FMラジオ局J―WAVE制作部の新人ディレクター、吉田香さん(25)は仕事が一段落する深夜、山積みになった試聴盤のCDに囲まれ、まずはパソコンに向かう。

 ネット通販のアマゾン・ドット・コムやアップルの配信サイト「iTunesストア」。昼間、先輩スタッフが流した曲を検索すると、曲の情報と合わせて、それを買った人がほかにどんな曲を買ったのかが表示される。

 レコメンド(推薦)と呼ばれる機能だ。曲調は似ているが、それまで知らなかったような曲も並ぶ。「一つの曲から音楽の世界が広がる。選曲のバリエーションを増やす上で勉強になる」

 午前の帯番組「ブームタウン」のほか3番組を担当する。番組のBGMをレコメンドで選ぶことも。「検索は、ある程度知っていることの結果しか出てこない。この機能には、発見がある」

 「店舗ならすぐ目に入るはずの商品が、ネットの大量の情報の中では、逆に見つけにくい」。レコメンドシステムを開発するシルバーエッグ・テクノロジーの西村淳子専務は言う。「だが、さがす対象が大量であればあるほど、レコメンドは役に立つ」

 利用者の過去の閲覧、購入の履歴を分析し、関心の傾向が近い人たちをグループ化。その傾向に沿って、利用者が「好きかも知れない」商品を自動的に推測し、推薦する。それがレコメンドの主な仕組みだ。利用者のデータが多ければ、それだけ精度は高くなる。

 通販・配信サイトにとっては、埋もれている商品の掘り起こしにもつながる。それは、ネット以外でも。ケーブルテレビのジュピターテレコムは10月、見たいときに視聴できるビデオ・オン・デマンド(VOD)にこの機能を導入した。

 映像ソフト数1万4千点。これまでは利用者が、50音順やジャンル別で検索するしかなかった。新機能は閲覧履歴などを分析し、「ジャンル」「出演者」「監督」という三つの分類で、利用者に作品を推薦する。調べると約2割の人がおすすめ作品を視聴していた。「予想以上の反応」と担当の掛水保典さん(35)は言う。

 世界自然保護基金(WWF)ジャパンも、10月からウェブサイトでこの機能を採用した。利用者がクリックする項目、検索語を分析。トップページの表示内容などを、地球温暖化や動物保護といった関心分野のものに、自動的に切り替えている。「レコメンドは、膨大な情報の道案内役」と同基金広報担当の三間淳吉さん(35)。

 好みに合わせた商品提供にとどまらない。「おすすめ」の技術は、利用者の関心を読み解き、情報を編集し始めている。(高橋昌宏)

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