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〈ネットはいま〉第1部―15 ファンがいる場所

2008年11月25日14時50分

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写真ライブで熱唱する、たむらぱん=10月28日、東京・原宿、マイスペース提供

 10月末、東京・原宿のライブホール。シンガー・ソングライターのたむらぱんがステージに立つと、会場を埋めた数百人が拍手を送る。

 「次の曲は『ゼロ』。作ったのは、これからどうしようと思っていた時期でした。やめないことって大事だな、と……」

 ライブを企画、運営したのは米国発のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、「マイスペース」。彼女はこのサイトを通じ、昨年10月にメジャーデビューの夢をかなえた。

 同サイトでは、学校や職場の仲間、音楽の趣味などが一緒の利用者同士が「フレンド」として登録。それぞれのプロフィル(自己紹介)ページなどで交流する。

 たむらぱんは、田村歩美さんのソロ活動名。03年からインディーズ(自主制作)活動を続けてきた。だが2度出したCDの出荷枚数は約400枚ずつ。いつ活動停止してもおかしくなかった。

 06年、マネジャーの中村裕光さん(34)は、マイスペース日本版の登場を耳にした。海外版では、楽曲や写真を公開し、口コミで人気が出たミュージシャンが数多くいるという。SNSでファンをさがそう。彼女に勧めた。「ここでダメだったら……という気持ちだった」と田村さん。

 パソコンは持っていなかった。SNSも初めて。それでも07年1月から、見ず知らずの会員300人ほどに毎日、「自分の曲を聴いて下さい」とメッセージをつけ、フレンドの申請を続けた。

 文面はすべて違う。相手のプロフィルを読み、メッセージの文章を考える。1日6〜8時間かかった。徐々に、曲を聴いた感想や応援の言葉が返ってくる。SNS内のブログを使ったやりとりが始まり、ファンサイトも立ち上がった。

 約4カ月、フレンドが1万人を超えた。一けたも珍しくなかったライブの観客数が100人に。マイスペースの再生回数などを基にした音楽ランキングでも上位に入り、人気に火がつく。「情報が、自分では届かない範囲に広がっていくのを実感した」と田村さんは言う。

 インディーズを含めた国内ミュージシャンは20万組ともいわれる。同サイトには、プロアマ約8万5千組が登録。すでに10組以上がメジャーデビューを果たした。

 「音楽雑誌やCD店を使った従来のプロモーションは一過性で終わりがち」とオジー井上・同社PCサービス部長。「SNSでは、ブログや楽曲にいつでも接触できる。継続的にファンをさがしていける」

 中村さんは言う。「ネットで自分をプロデュースしていく。アーティストにも、そんな能力が必要になってくる」(高橋昌宏)

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