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〈ネットはいま〉第2部―8 家庭訪問の行き先

2009年2月12日14時7分

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写真米国で山火事情報を「マイマップ」で公開した例。日本では昨秋、個人情報を誤って公開した人が続出した=グーグルマップから

 「作業は校内のパソコンを使っていた。ネットにつながっていることが、わかりにくかったのではないか」

 富山県教育委員会の担当者は、そう説明する。同教委は昨年11月、県立高校の男性教諭が、生徒18人の個人情報をネット上で公開状態にしていた、と発表した。夏休みの家庭訪問のため、生徒の住所と氏名をパソコンで地図に入力していたという。

 ただ、その地図はネット上にあり、誰でも閲覧できる状態になっていた。

 富山だけではない。千葉、愛知、青森、岡山、静岡、福岡、熊本、埼玉、高知……。小学校や中学校、さらに企業や病院でも、同じような個人情報の流出が起きていた。文部科学省も、都道府県教委などに注意を呼びかけるメールを送った。

 騒動の発端は、グーグルのネット上の地図サービス「グーグルマップ」の「マイマップ」という機能だ。地図の上に、目印やメモなどを書き込み、保存しておくことができる。

 そして、この機能の初期設定は「公開」になっている。それに気づかず個人情報を公開してしまったり、後から「非公開」に変えても、すでにネット上に流れた情報で閲覧できたりするケースが相次いだ。

 利用者が作った地図には、それぞれネット上の住所(URL)が割り当てられる。それがわかれば、「非公開」であっても閲覧はできる。当初の「公開」「非公開」という設定の呼び方は、騒ぎを受けて「一般公開」「限定公開(URLで共有)」に変えられた。

 そもそも「マイマップ」は、災害時などにネット上で素早く情報を共有するための仕組み――。グーグル広報は、そう説明する。このサービスもクラウドの一種。データは利用者のパソコンではなく、グーグルのコンピューターの中に保存され、管理され、そして「公開」されていた。だが多くの利用者には、パソコンの画面上で完結する「閉じた世界」に見えた。パソコンとネットのつなぎ目に、落とし穴があった。

 「サービスの運営側にも責任はある。簡単に『利用者の自己責任』とは言い切れない」とネット社会に詳しい森井昌克・神戸大教授(50)は言う。一方で、ネットに関する教育の乏しさを、騒動の背景として指摘する。高校では03年度から、個人情報流出問題も扱う「情報」の授業が必修になったが、重視されているとは言い難い。「ネットは車の運転と一緒。不注意で他人が大きな被害を被る。情報は一度ネットに流れると、もう消えない」(小堀龍之)

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