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〈ネットはいま〉第2部―10 「攻撃の輪」をつくる

2009年2月17日14時26分

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写真24時間体制でネット上のセキュリティーを監視する=東京都港区のラック

 〈ボット作成サービス月99ドル〜〉〈ボットネットの一部を用途や期間に応じてレンタル〉

 こんな「サービス」を掲げる海外のウェブサイトがある。「ボット」とはロボットに由来する。パソコンをコンピューターウイルスに感染させて乗っ取り、ロボットのように操る。それをネット経由で数十万〜数百万台つなぎ、巨大なコンピューター群「ボットネット」をつくり出す。

 一斉にコンピューターを攻撃したり、迷惑メールの送信に使ったり、ウイルスを広めたり……。ボットネットの「レンタル」を掲げるサイトは、強力な処理機能を利用した「負のクラウド」を、ネットで提供しようというのだ。入り口はウイルス感染。それは国境を越えてやってくる。

 人口約5万4千人、長野県中部の岡谷市。昨年12月、市のサイトが攻撃を受け、改ざんされた。利用者が閲覧すると、別のサイトにつながり、ウイルスに感染するよう仕組まれた。サイトの弱点を突く「SQLインジェクション」と呼ばれる手口だった。「ウイルスの拡大に加担した恐れもあり、調査中」と市の担当者は言う。

 企業のセキュリティー監視を行うラック(東京都港区)の解析では、これは大規模なネット上の攻撃の一部。当初、攻撃の発信元は韓国だった。だがウイルスが広がると、国内の感染パソコンも自動的に標的を探し、攻撃を始めた。

 発生から1週間後、400余りの顧客のコンピューターへの攻撃は、4分の1が国内発になっていた。同月の攻撃数は約1500万件と前月の約100倍。感染コンピューターへの「命令」の内容から、一連の被害はボットによる感染拡大の動きだったと同社は判断している。

 ネットだけではない。パソコンに挿して使う記憶媒体「USBメモリー」経由のウイルス感染が、昨年から急増している。ここでも、ボットの痕跡が確認された。関東の企業で、画像の受け渡しのために取引先から届いたUSBメモリーが、感染源だった。感染ウイルスは、中国語のボット作成ツールで作られていた。

 スピードも規模も、勢いを増している。マイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズ」の弱点を突くウイルスが、先月から世界中で猛威をふるう。フィンランドのウイルス対策ソフト会社エフセキュアの推計によると、わずか4日間で、感染数は240万台から890万台以上へと驚異的に急増した。同社は、これもボットネットを作る動きとみる。

 「あらゆるウイルス感染や攻撃で、ボットが起点になりつつあり、今後も広がる恐れがある」。ラックの新井悠・先端技術開発部長(31)は警鐘を鳴らす。(松村北斗)

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