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〈ネットはいま〉第2部―15 市民との「会話」

2009年2月23日13時52分

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写真「一方通行ではない『会話』に価値がある」と話すワインバーガーさん=14日、米ボストン近郊

 オバマ米大統領(47)が9日夜、ホワイトハウスで就任後初の記者会見をした。ここで、メディアをめぐる変化があった。

 ウォールストリート・ジャーナルやタイムといったメディアの記者は最初から質問者リストに載せず、アクセス急増で影響力を増しているネットのニュースサイト「ハフィントン・ポスト」記者の質問は受けた。ネットを駆使して有権者とつながった、「オバマ流」の一端だ。

 「これまでの政治は、せっけんを売るのと同じだった」

 ネットと市民、社会のかかわりを研究するハーバード大法科大学院バークマンセンターのフェロー、デビッド・ワインバーガーさん(58)は言う。お仕着せの政策を一方的に送りつける。その手法は、商品の大量生産と変わらない。「だが私たちは、そんなトップダウンよりも、人間的な『会話』に価値を見いだしているのだ」

 1930年代のルーズベルト大統領はラジオ。60年代のケネディ大統領はテレビ。政治家の声は、市民に向けた一方通行「一対多数」で発信されてきた。

 そしてネットが登場する。流れが変わったのは04年の大統領選。民主党予備選で、「ディーン旋風」と呼ばれたディーン・元バーモント州知事陣営の徹底した「ネット戦略」だ。

 「旋風」をつくり出したのは、市民同士のネット上の「会話」だった。

 候補者がすべての市民の声を聞くことはできない。しかし市民同士がつながれば、その声はお互いに届く。陣営はネット上に様々なグループの討論の場を作った。「一対多数」ではない「多数対多数」の会話だ。会話は勢いを増し、陣営の思惑を超え、予備選の台風の目となった。

 結局、ディーン氏は敗退する。だが会話の力は地下水脈となって今回の選挙に続き、「オバマ大統領誕生へと受け継がれた」。交流サイト(SNS)などのネット上の会話が、「実社会での動員につながった」とワインバーガーさん。

 政権移行期間中に開設したサイト「チェンジ」でも、だれもが政策提言ができるようにし、市民が議論できるブログも開設した。

 だが、それらの市民の声は、オバマ政権にどう反映されるのか。ネットがどれほど政治風景を変える力を持っているのか。

 「例えば15歳の高校生の地球温暖化についての意見が、ネットで支持を集めたら。それが大統領や政府関係者の目に留まり、15歳が政策を変えるかもしれない」。ワインバーガーさんは、そんな期待を込めて政治を見つめている。

(マサチューセッツ州ブルックリン=勝田敏彦)

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