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〈ネットはいま〉第2部―17 いないはずのアリス

2009年2月25日13時39分

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写真パソコンの画面上に映し出されると、小箱の上にフィギュアが姿を見せる

 パソコン用カメラが、机の上の様子を画面に映し出している。

 そのパソコンの前に、一辺2センチほどのサイコロみたいな小箱を置く。「現実」の小箱は小箱のまま。だが、パソコン画面に映し出されたその箱からは、身長10センチほどのアニメ風メードが「よいしょ」と現れる。「電脳フィギュアのアリスといいます」。小さな頭を下げてあいさつをした。

 ベンチャー企業芸者東京エンターテインメント最高経営責任者(CEO)の田中泰生さん(32)は「拡張現実技術を使った世界初の商品」と胸を張る。昨年10月に発売した。

 位置情報をもとに、実映像にコンピューター・グラフィックス(CG)を重ね合わせる。この技術を使うと、現実の景色の中に、このフィギュアのような仮想の「あり得ない存在」を出現させられる。拡張現実に詳しい奈良先端科学技術大学院大学の加藤博一教授(45)は、「いわば、魔法を本当にやってみせる技術」と説明する。

 その融合が、ネットにつながるとどうなるか。

 東京都内に隠された116個の仮想の「星」を、24時間以内に見つけ出せ――。昨年8月、そんなゲームを試してみたグループがある。

 「星」の隠し場所には、あらかじめメンバーが出向き、携帯電話の全地球測位システム(GPS)機能を使って、位置情報をネット上のデータベースに登録。ゲームのプレーヤーは、自転車の前カゴにカメラとGPS付きのノートパソコンを載せ、ぐるぐると「星」を探し回る。

 自転車の位置情報はネット経由でデータベースに送られる。そして隠し場所に近づくと、パソコン画面に映る風景に、回転する黄色い星が現れる。50メートル以内に近寄れたら、星取り成功だ。

 そのグループ「ハッカーズカフェ」の伊藤剛さん(34)は「次の計画も立てている」。都内全域を仮想的な銀河連邦に見立てた、「拡張現実版宇宙戦争ゲーム」だという。

 実用化の研究も進む。「今年は携帯電話の拡張現実元年になるだろう」とNECマグナスコミュニケーションズの山崎順一主任。携帯をかざした方向にある街の情報を読み取り、携帯の画面に表示する技術を研究中だ。

 目の前のビルに携帯をかざせば、ビル内の店舗のグルメ情報や特売情報が浮かび上がる。街角に「見えない伝言」を残してくる、といったことも。KDDIも、同様なサービスができる携帯ソフトを開発している。

 電脳フィギュアを作った田中さんは、「店頭の化粧品に携帯をかざせば、ネット上の口コミ情報が現れる。そんな時代が数年以内にやってくる」と見ている。(久保田裕)

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