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途中着陸、テロ警戒のとおりゃんせ @ケニア・ワジール

写真:ナイロビ国際空港に戻ると、二重の虹がかかっていた=江木慎吾撮影拡大ナイロビ国際空港に戻ると、二重の虹がかかっていた=江木慎吾撮影

 ナイロビからモガディシオに向かう場合、「行きはよいよい帰りは怖い」となる。本当は「怖い」ではなく、「面倒」なのだけど。

 モガディシオ行きはナイロビから1時間半ぐらい。帰りは3時間ほどかかる。帰りの便は直行することを許されない。ちょうどモガディシオとナイロビの中間あたりにある、ケニア北東部の町ワジールにすべての便は着陸する。

 ここで乗客は全員、荷物を持って飛行機を降り、入国審査をする。預け入れた荷物もいったん飛行機から降ろされ、スクリーニングにかけられる。乗客もセキュリティーチェックを受けてから、再び飛行機に乗る。ワジールから乗る乗客はほとんどいないので、これは実質的にテロ警戒のためのチェックだ。

 ケニアは、隣国ソマリアの内戦の影響をもろに受けている。イスラム武装勢力のシャバブはケニア国内で何度もテロを仕掛けている。ケニアはAU軍に参加して軍をソマリアに送り、南部でシャバブの掃討に当たっている。

 ソマリア南部でシャバブが最重要拠点にしてきた港町キスマヨをケニア軍が制圧した。シャバブは報復のため、ケニアでのテロを予告している。ケニアには多くのソマリア人が住み、シャバブ分子も忍び込んでいる。そういうこともあって、ソマリアから来る便にはことさらに警戒を強めるわけだ。

 ナイロビの空港に着いた後もセキュリティーチェックを受けてから空港の外に出るので、かなり徹底している。普通のソマリア人にとって、それは嫌がらせにしか感じないだろう。

 話はワジールに戻る。乗客全員がセキュリティーチェックを受け、預け入れた荷物のスクリーニングも終わった。すると、一つだけぽつんと駐機場の端に置かれた荷物がある。その荷物に、見覚えがある。今回の出張のために買った小型のスーツケース。

 「あの荷物は私のだけど」と近くにいた警察官に言うと、荷物と一緒にスクリーニングの機械のところまで連れていかれた。セキュリティーの係が「電池が入っているか?」と聞くので、「電池ぐらい入っている。何か問題があるのか」と言い返すと「いや、何かわからない複雑な装置があるようだ」と言う。

 複雑な装置? 仕方ないので、ケースを開ける。せっかくぎゅうぎゅうに、我ながらうまく詰めたのに。電池が入っているものは二つしかない。一つは、役目を果たしてくれなかった電気蚊取り器。もう一つは、ひげそり器。実はこれも鼻の下がかぶれたようになってしまったので今回、1回も使っていない。

 結局、何が「複雑な装置」だったのかわからずじまいだった。別に恥ずかしいものが入っていなくても、荷物の中身を見せるって恥ずかしいものなんだぞ、と腹の中で思ったが、係が笑顔で「サンキュー」と言ったので、許すことにした。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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