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09月21日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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ナイル川のほとり、つながらないネット @ジュバ

写真:ナイルのほとり=江木慎吾撮影拡大ナイルのほとり=江木慎吾撮影

 1日たっても、何も進まないというのはつらい。8日は外国メディアの登録が必要だというので、最初に情報省に出かけた。朝8時から開いていると聞いていたが、8時半にだれもいない。

 出勤してきた人に聞くと、場所が違うというので隣の建物へ。すると、係がいないので9時半から10時の間に出直した方がいいと別の人に告げられる。

 前日からインターネットの接続に四苦八苦し、原稿が出せない状態が続いたので、現地でモデムを購入することにした。ショーケースにモデムが数個あるだけの怪しげな店に出向いて買う。モデムが300ポンド(6300円ぐらい)、1週間しか使わないので50ポンド分の使用料を払った。

 その足でまた外国メディアの登録に行き、今度は写真やパスポートのコピーを提出、必要な事項を書き込んだ。すると「責任者がいないので、了承のサインがもらえない。午後2時以降にまたくるように」と係が言う。

 南スーダンでは、ケニアのプリペイド携帯が何もしないでそのまま使える。だが、国内にかけるのも国際料金になるので、あっという間に使えなくなってしまった。こちらのSIMカードを買って、地元番号を手に入れた方が得策なので、そうする。日本の携帯もこうなら便利なのに。

 「外国メディア登録をするまでは写真も撮ってはだめ」と役所に言われたので仕方ない、ジュバを流れる白ナイル川でも見に行くかと、運転手に頼み、そちらに向かう。するとこれまた運悪く警察の検問に引っかかり、消火器の有効期限証明書がないということで違反切符を切ろうとする。

 運転手は別の場所にあるので取ってくると言うのだけれど、車はここから動かしてはならない、と怖い顔の女性の警察官は言った。仕方なく、車を置いてナイルを少し眺めようと橋のほうに向かう。大きなタンクローリーが茶色に濁った水をくんでいる。白い車体の横に「クリーンウオーター」と書いてあるが、大丈夫なのだろうか。

 車に戻ると、まだ女性の警官がいる。いろいろやりあった末、後日その書類を見せに行くということで落着した。そこで、ナイル川そばのレストランまで車で行って、お茶を飲んだ。悠然というには少し流れが急だ。

 ここでパソコンを取り出して、またネット接続を試みるが、だめ。いろいろと連絡しなければいけないことがあったので、ホテルに戻り、日本から持ってきた人工衛星を使って接続する機械で何とかメールもつながった。

 午後になって、また役所に戻り、50米ドルを払って無事に記者登録をすませる。そこからさらに警察の許可が必要だということで、警察のはんこをもらう。これで、軍事施設以外での取材が可能、ということだ。

 ジュバの町を車で行くと、走っている車が頻繁にハザードランプをつける。これはまっすぐ行くというサインなのだそうだ。

 確かに右と左がついているので、まっすぐというのは理解できるけど、交差点に差し掛かると出すのは面倒くさい。でもこれも親切な運転なのだろう。日本の「ありがとう」だか「すみません」だかわからないような使い方もそれに似ていなくもない。

 ジュバの町では車が比較的のんびり走っているけど、合間をバイクタクシーが気ままに走り回って、とても危険だ。

 そうそう、モデムを買ったところに行って、つながらないと文句を言わなければ。すると、言うに事欠いて、選択したプリペイドのサービスが悪いのだと店員が言う。月ぎめ無制限の接続なら大丈夫だと強調して、新たなSIMカードを売りつけようとするので、ここでやってみてつながったら買うということにした。やはり、つながらない。ということで、店員はぶぜんとしていたが、こちらもこれで一日が終わってしまった。

 ホテルに戻ると、寒気がして熱っぽい。冷房にあたってしまったようで、体力のない中年は早々にベッドに潜り込んだ。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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