ジュバのホテルで車を待っていた時、泥だらけの四輪駆動車が3台、続けて駐車場に入ってきた。随分ひどい状態の車だと思ってよく見たら、内装にビニールがかかり、ホイールにも覆いがある。運ばれてきた新車だった。
南スーダンの物資輸送は、隣国ウガンダに頼っている。ウガンダも内陸国なので、車などを輸入するときはインド洋に面したケニアのモンバサ港から運ばなくてはならない。約2千キロの長旅になる。車を運ぶトラックがずっと走れる道などないので、運転手が走らせてくるのだ。
ガソリンもケニアから運ばれている。産油国ではないケニアから、産油国の南スーダンに運ばれているわけで、不思議な感じがする。ケニアからの輸送が滞ると、たちまちガソリンスタンドに列ができる。
1リットルが6ポンド(120円)だったので、産油国にいる恩恵はそれほど感じない。これが、ジョングレイ州のボルに行った時には9ポンド(160円)に跳ね上がったので、日本よりはるかに高い。
そのポンドもどんどん値を下げている様子だった。最初にジュバでドルと交換したときは1ドル=3.8ポンドだったのが、ボルでは4.0、ボルから戻ったジュバでは4.2になっていた。この時点で、外貨の交換所には住民が長い列をつくっていた。
食事は、前半は体調を崩していたのでもっぱらホテルで食べたが、後半は町に出るようになった。ジュバに2軒を構える人気の「ママ・ザーラ・レストラン」に通った。地元の色んな料理が食べられると評判で、食事時は混み合う。
店に入ると、左手にお風呂屋さんの番台のように高くなったところがあって、ここで注文する。注文と引き換えに番号札をもらい、空いているテーブルに行って待つ。5分もたたずに丸いお盆にのった料理が出てくる。2人で食べても千円もかからない。
クドラという、モロヘイヤと肉のシチュー、バーミヤというオクラのシチュー、それにショルバという、見かけはみそ汁のようなスープはいずれもうまかった。
みそ汁のように見えるのはピーナツが入っているからで、だしは何からとっているのだろう。トマトが入っていて、ライムを搾って飲むと、アクセントになっておいしい。
少しすっぱいクレープのようなケセラを浸して食べる。
周りの人の皿を見ると、そちらの方がうまそうに見える。テレビの「酒場放浪記」の吉田類さんならおすそわけといくところだが、とてもその勇気はない。
このレストランのオーナーのザーラお母さんは、どんな部族の出身者にも合う料理の味で店を有名にしていった。特に都会のジュバに出てきた独り身に、懐かしい故郷の味と安さが受けたのだという。
周りの客からは「何だこいつは」という視線を感じたが、3度行った。最後に試したフルは、軟らかく煮た豆とトマトと野菜とチーズを混ぜ、パンですくって食べる。豆とチーズで想像がつくかもしれないけれど、納豆のような風味がした。みそ汁に納豆、というわけで、なるほど懐かしい故郷の味が身にしみた。

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。