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11月14日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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尾を引く硬さとにがみ なぞの動物の後味 @アビジャン

写真:ポーカピックのシチューとご飯=写真はいずれも江木慎吾撮影拡大ポーカピックのシチューとご飯=写真はいずれも江木慎吾撮影

写真:ケジェヌ。トリ肉と野菜の濃厚なエキス拡大ケジェヌ。トリ肉と野菜の濃厚なエキス

写真:チェプ。おいしい拡大チェプ。おいしい

写真:海沿いのカルプ拡大海沿いのカルプ

写真:食べ物ばかりというのもなんなので、ポーカピックを食べたレストランからの眺め拡大食べ物ばかりというのもなんなので、ポーカピックを食べたレストランからの眺め

写真:カルプを食べた海沿いのレストラン拡大カルプを食べた海沿いのレストラン

写真:大きなネズミのような動物は市場で売られていたが、ポーカピックは高級でなかなか入らないという拡大大きなネズミのような動物は市場で売られていたが、ポーカピックは高級でなかなか入らないという

 アビジャンに戻った11日、朝からリベリア行きの便の確保に回る。この日に予約していた便はどっちみち乗れなかったようで、そう聞くと2日かけてリベリア国境を目指した骨折り損も、少し和らぐ気がする。

 13日にリベリアに行く便がとれた。コートジボワール→リベリア→シエラレオネ→コートジボワールの近隣3国間をめぐるチケットが、ケニアとコートジボワールの往復チケットの倍近くする。クレジットカードで払わないとリベリア、シエラレオネ両国で使える現金がなくなってしまう。

 よくあることだが、クレジットカードでの支払いがうまくいかない。問題がカードにあるのか、旅行会社の読み取り機か、ネットワークか、さっぱりわからない。

 日本のカード会社に電話しても、業務時間外の案内が流れるだけだ。「午後にもう一度やってみましょう」と旅行会社の係が言うので、いったん外出した。

 実は前の日に食べたものが気になっていた。朝から何も食べずにリベリア国境を目指し、国境越えが頓挫してダナネの町に戻ったのが午後1時ごろだった。アビジャンまで10時間近くかかる予定だったので、素早く食事をして出発しようということになった。

 「とにかく早く食べられるもの。何でもいい」と言ったら、すぐに出てきた。肉が入ったシチューのようなのと、少しぱさぱさのご飯だった。

 かき込むように食べながら「これは何?」と尋ねると、「ポーカピック」だという。一応、メモだけして写真に撮って食べ続けた。肉は硬く、にがみがあっておいしくない。汁だけご飯にかけてネコまんまのようにして食べた。

 あとで通訳兼コーディネーターのおじさんに何なのかきいたが、要領をえない。そういえば、道すがら大きなネズミのような動物を手でぶら下げて売っている人がいたけれど、あれではないだろうなと不安になる。ヌートリアでもカピバラでもないようだが食用だと言っていた。

 ぶら下げていたのはヌメヌメした感じの動物だったが、ポーカピックはとげがあるという。怒るととげを刺す、とげが抜けることもあるというから、ハリネズミかヤマアラシだろう。響きはポーキュパイン、ヤマアラシだ。

 大きなネズミではなくヤマアラシと聞いてもあまり気分はよくならなかった。こうなると市場などで売られているヤマアラシを確認できないかと思って通訳のおじさんに言ったが、高級品であまり市場に長く出ていることはないという。

 コートジボワールに来てからはだいたい外で地元の料理を食べてきた。「ケジェヌ」はポットで調理したものという意味らしく、水を使わずにトリ肉と野菜を煮て濃厚な味になる。ご飯にかけて食べるとうまい。

 セネガル料理店も数多くあって、魚ののった炊き込みご飯のチェプジェンはピリッと辛くてとてもおいしい。海沿いのレストランでは地元の魚を、と頼んで「カルプ」の焼き魚の野菜添えを食べたけど、考えたらカルプはコイだろう。味もそうだった。わざわざ海辺に行ってコイとは。でもメニューの一番上に書いてあった。

 ヤマアラシだかハリネズミの苦みは少し嫌な後味になった。コンゴのバッタは大丈夫だったのに。別に絶滅危惧種ではないけれど、動物園の取材をしたばかりということもあるだろう。でも、よく煮込むととても柔らかくなって、ちょっぴり苦みがあるのは特徴なのだそうだ。

 結局、売られるヤマアラシにたどり着けないままに旅行会社に戻った。まだカードでの支払いがうまくいかない。係は「チケットはすでに発行した。きょう中に現金で払え」と言い出した。

 カチンときて「こちらは元からカードで払うと言っている。何が問題なのか確かめもしないで、なんで現金で払わせるのか」と抗議すると、カード会社の技術者を電話で呼んだ。えっ、今初めて呼ぶのかとあきれたが、技術者が来て機械をいじったらあっという間に支払えるようになった。

 全く、客を何だと思っているのだろう。どうもこの国とは相性がよくないのだ、昔から。

 その後、道にボーッと立っていたら、壁沿いに座っていた警備員が見えないからどけと言う。「冗談じゃない。ここは公道だろ。どこに立とうが自由じゃないか。見えないなら椅子に座っていないで自分で動け」と英語で言い返したが、通じていないようだった。

 いけない。心が狭くなっている。旅のドタバタも含めて書きますと始めたものの、だんだんドタバタばかりになっていることが、ボディーブローのようにきいてきたようだ。なぞの動物の後味が尾を引いているのかもしれない。

 ホテルに戻ると、コンゴに一緒に旅をしたブルンジの仲間から「すっかり元気になりました。薬を含めていろいろありがとう」とメールがきていた。よかったよかったと返事を書いた。それですっかり気分が回復したから、まあ単純にできているということだろう。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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