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11月14日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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更けゆく日 薄暗い食堂のパサパサのご飯 @モンロビア

写真:テーラー元大統領の私邸。上の方に「季節のごあいさつ」という電飾の跡があった=写真はいずれも14日、江木慎吾撮影拡大テーラー元大統領の私邸。上の方に「季節のごあいさつ」という電飾の跡があった=写真はいずれも14日、江木慎吾撮影

写真:久々に登場。ぽつねんと拡大久々に登場。ぽつねんと

写真:モンロビアの夕景拡大モンロビアの夕景

写真:見えないかもしれないけれど、クリスマスツリーを運んでいたので撮ろうとした、中央部に目をこらせば……拡大見えないかもしれないけれど、クリスマスツリーを運んでいたので撮ろうとした、中央部に目をこらせば……

写真:ママ・シャリフ・レストラン拡大ママ・シャリフ・レストラン

写真:このところ、どの料理も似たように見えるかもしれないが、ポテトグリーン拡大このところ、どの料理も似たように見えるかもしれないが、ポテトグリーン

 モンロビア郊外の街道沿いで、スーツケースに座ってぼーっとしていた。13日に宿泊したホテルは、インターネット接続がうまくいかず、別のホテルに移ることにした。その前に、シエラレオネのビザを取る手続きをしないといけない。

 移動するごとにビザ手続きをするのは、もうやめよう。いくら風に吹かれると言っても、少しは計画性をもたないと、右往左往するだけだ、などと考えて座っていた。この国で助けてくれる男性が、車で迎えにきてくれるのを待っていた。

 ちょうど目の前が、テーラー元大統領の私邸だった。シエラレオネ内戦にかかわり人道に対する罪によって、国際法廷から今年5月、禁錮50年の判決を受けた。

 リベリアに前回来たのは2000年、ユニセフ親善大使の黒柳徹子さんと一緒だった。そのときすでに、シエラレオネのダイヤと引き換えに武装勢力に武器を渡して同国の内戦をあおっているという疑惑をテーラー大統領は受けていた。

 主のいなくなった家は、前面が大きなコンクリートの壁になっていて、戦車も通れそうな大きな鉄扉が2カ所ある。「季節のごあいさつ」と英語で書かれた電飾が壁の上の方にあったようだが、今はその跡だけが残っている。

 テーラー元大統領が去った後、選挙で選ばれたアフリカ初の女性大統領として、サーリーフ大統領が今も職にある。1989年から03年に及んだ内戦から抜け出し、女性大統領の下で汚職を追放、石油も見つかって発展へ一直線――。だが、そう単純にはいかないようだ。

 サーリーフ大統領は「鉄の女」と呼ばれ、腐敗と闘うノーベル平和賞の人、という印象が一般には強い。だが、彼女自身が設置にかかわった、リベリア内戦をめぐる「真実と和解委員会」が、内戦をあおった側として彼女の名を挙げ、公職につくべきでないと指摘している。また、彼女が息子の一人を国営の石油会社の重役に任命したことがいま、身内びいきだという批判を招いている。

 こうしたことから、ともにノーベル平和賞を受賞した平和活動家のボウイーさんは、たもとを分かつと宣言したと朝日新聞も報じた。そもそも、1期しかやらないと言っていたはずだが、すでに大統領として2期目にある。

 リベリアはコメを主食とし、米価値上げによる「米騒動」が民主主義獲得への闘いの原点にあった。その辺は日本にとっても身近に感じられるところだ。

 奴隷としてアメリカに渡った人たちの子孫がアフリカに帰還してつくった国で、もともと現地に住んでいた人たちとの長いあつれき、差別問題を抱えている。そんな国の成り立ちがどこかイスラエルをほうふつとさせるところもある。

 とまあ、興味の尽きない国ではあるけれど、次の訪問地も待っていて、何をどれだけ取材ができるかはわからない。とにかく、シエラレオネのビザをとらなくては。前回の旅も「コンゴ編」と名付けてコンゴ入りに苦労し、今回も「シエラレオネ編」としてなかなかシエラレオネにたどり着けない。

 やっと午後になってビザの申請手続きができた。それからホテルを移動してネット環境を整えたら、もう夕方近くになっていた。気づくと朝から何も食べていない。今からできることも思いつかないので、車に乗って市の中心部をめぐりながら食堂を探した。

 ちょうど帰宅時間と重なり、たくさんの人が郊外に向かう乗り合いタクシーを待っている。1台が来ると、乗る順番を争ってつかみ合いのけんかになる。そんな日常をオレンジ色に染めて、日が沈んでゆく。

 さて、タクシー運転手が「ここが一番」という「ママ・シャリフ・レストラン」に入ろう。写真に撮るとこざっぱりした食堂に見えるけど、薄暗くて一人で入る勇気はない。

 おすすめの、イモの葉と牛肉の煮込み「ポテトグリーン」とご飯を頼む。濃い緑色のシチューでピリッと辛い。よく煮込んであるようで、肉は軟らかい。それをカレーのようにご飯にかけて食べる。ご飯は日本人からみるとパサパサだけど、こういう食べ方には合うのかもしれない。2人で600円足らずは安い。

 リベリアに来て2日目が過ぎてゆく。ああ、まだ何もしていない。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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