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09月23日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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石油は呪いか恵みか 真実と和解の難しさ @モンロビア

写真:アカルース・グレイ議員=写真はいずれも15日、江木慎吾撮影拡大アカルース・グレイ議員=写真はいずれも15日、江木慎吾撮影

写真:ダンボイ(右上)とスープ、それに薬味。餅のようなので、スープをかけて食べると雑煮のようでもある拡大ダンボイ(右上)とスープ、それに薬味。餅のようなので、スープをかけて食べると雑煮のようでもある

 コートジボワールで紛争後の和解の難しさについて書いた。リベリアでも1989年から2次にわたり2003年まで続いた内戦に関し、「真実と和解委員会」が設置された。その最終報告が出たのが09年だった。最終報告には、戦闘当事者と関係があり、公職につくべきではない人物としてサーリーフ大統領の名前が挙がっている。

 チャールズ・テーラー元大統領がゲリラ闘争を始めようとしたころ、サーリーフ大統領が支援したというのが委員会の指摘する戦闘当事者との関係だった。テーラー元大統領はシエラレオネの内戦に関して人道に対する罪によって禁錮50年の判決を受けた。最終報告でも起訴されるべき人物として名前が挙がっている。

 最終報告には、「公職追放」を含めたいくつかの提言が掲げられているが、3年たって実現したものは何もない。「大統領自身の処分を含む提言が実現するはずもない」とモンロビアから選出された野党の民主変革会議(CDC)のアカルース・グレイ下院議員(38)は言う。

 「提言が何も実現しないのなら、何のためにお金と時間をかけて真実と和解を求めたのかわからない」。グレイ氏は、リベリアでの戦争犯罪を裁く法廷の設置を提案している。

 もう一つ、グレイ氏らがかみついているのが、沖合の油田開発だ。リベリアの沖合からは石油が見つかっている。すでに沿岸は17の探鉱区に分けられて探鉱契約が結ばれている。この探鉱区の一つに三菱商事の部分的な参画が決まっている。

 グレイ氏らは油田開発をになう国営リベリア石油会社の事業の進め方が独断的だと批判し、探鉱契約の見直しなどを求めている。特に批判するのが、この石油会社のトップに、サーリーフ大統領の息子ロバート・サーリーフ氏が座っていることだ。サーリーフ大統領のほかの息子も、国の中央銀行や国家安全保障局に職を得て、縁故主義だという議論が起きた。

 だが、リベリア石油会社のジョナサン・ソグビエ広報部長は縁故主義を否定する。役員会の構成は大統領の専任事項だとした上で、ロバート氏が役員として要求されるすべての資質を備えていると主張する。有能な人物ではあるらしい。

 現在、リベリアは新たな法整備を含む石油政策全体の見直しを進めている。

 「私たちには重い責任が課せられている。気をつけないと、石油は呪いに変わりうるからです」とグレイ議員は言う。石油会社のソグビエ広報部長は「石油がリベリアにとって機会の拡大、恵みとなるように石油政策全般を見直しているのです」と話す。

 立場の違う2人が言うことは表裏をなしている。資源が呪いでしかなかった先例が、アフリカにはあまりに多いからだろう。実際に石油が産出するまでには、まだ7〜10年はかかる見通しだ。

 この日の昼食は、市内中心部にあるレストランで食べた。ダムボイという、キャッサバでつくった餅のような食べ物に「スープ」をかけて食べる。

 このスープはトマトに、トリ肉、牛肉、そして魚が入っている。魚のだしがきいていて、それでいて肉の味わいも殺さず、実にうまい。辛さはタンタンめんといった感じで、ラーメンのスープにしたら、人気が出るだろうと思いつつ汗をふきふき食べる。乾燥したオクラなどが薬味用についていて、特にきな粉のような粉をかけると、魚粉のような感じでうまみが増した。

     ◇

■12年前の記事から

 12年前、リベリアと隣国シエラレオネは石油ではなくダイヤの呪いにとりつかれていました。そのときに書いた記事です。

《無神経なダイヤ(特派員メモ・モンロビア)》 

 ユニセフ親善大使の黒柳徹子さんと一緒に、西アフリカのリベリアを1週間、回った。

 隣のシエラレオネと同様、リベリアはダイヤモンドにのろわれている。隣国では、反政府武装勢力が内戦の資金をダイヤで稼いでいるとされる。リベリアは、その武装勢力との間でダイヤと武器の不法取引に手を染めていると批判されている。

 このため、リベリアは国際社会で孤立し、長い内戦の痛手から復興する上で障害になっている。それだけに、政府要人への表敬訪問時に、同行記者の関心はダイヤに集まった。

 黒柳さんの訪れているさなかに、ダイヤの不法取引を取材していたとされる英国などの記者が拘束、起訴された。外国人記者に強硬手段をとるほど、この問題に神経質になっていることをうかがわせた。

 テーラー大統領のジュエル夫人を、黒柳さん一行が訪ねた時だ。話をする夫人の左手に、同行記者団の視線が集まった。そこには巨大なダイヤの指輪が光っていた。カメラも向けられ、夫人はしきりに指を気にした。

 質問が指輪に及ぶと、夫人は間髪を入れず「リベリアのよ」と答えた。疑惑のシエラレオネ産ではない、と言いたかったようだ。産地はともかく、ダイヤ問題に国中が苦しんでいる時に、人前に大きなダイヤをさらす度胸は、さすが大統領夫人と言うべきか。度胸をほめるだけでは、片づけられない無神経さがそこにある気がする。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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