メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

11月16日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

「自由の国」から「自由な町」へ @フリータウン

写真:バイロン・ブラウン下院議員拡大バイロン・ブラウン下院議員

 ケニアを出発して12日、シエラレオネに向かう。フライトが夕方なので、この日の午前にいくつか取材をしようと思っていた。すると、ホテルに国会議員が訪ねてきた。

 野党のバイロン・ブラウン下院議員(46)は、日本人の記者が「真実と和解委員会」の話を取材していると聞きつけたらしい。その話はすでに少し書いたけれど、わざわざ来てくれたので話を聞いた。

 議員は、内戦の悲劇を繰り返さないために委員会の提言の実行を求めている。ただ、提言がサーリーフ大統領の内戦への関与を指摘していて実現が難しいとみて、戦争犯罪を裁く法廷の設置法を成立させようと活動している。

 「内戦での残虐行為に深くかかわりながら、罪にも問われずに豊かな生活をしている人間がいる。そういう人間が野放しになった姿を見ている人たちはなんと思うか。これでは将来再び内戦を繰り返すことになりかねない。抑止するために正義の実現が必要だ」

 リベリアの政権には戦犯法廷設置の意思がないとして、何とか国際的な圧力も呼び込んで実現を、というのがブラウン議員の主張だ。話を聞いていたら、別の取材をする時間がなくなってきたので、空港に向かうことにした。街中で「真実と和解委員会」の提言実現を求めてデモ行進する一団がいた。

 空港に向かう途中にちょっとだけ寄りたいところがあった。サーリーフ大統領の私邸の外に、大統領の田んぼと畑があって、そこでネリカを栽培しているとチェノウェト農相が教えてくれた。空港に向かう道ばたにあるので、写真を撮ろうと思っていた。

 その場所で写真を撮りたいというと、警備にあたっていた3人がダメだという。田んぼに稲が見える。あの田んぼを撮るだけだといっても、ちゃんと許可を取ってこいとにべもない。

 実は前の日、農相がいるところに押しかけて取材の許可を取り付けようと、モンロビアの公会堂のようなところで待ち構えることにした。ちょうど、大統領も参加する会合が開かれていた。

 会議が終わるのを部屋の外のソファに座って待った。身分証の提示も求められなかったし、手荷物の検査も受けなかった。と、扉が開いて大統領が出てきた。こんなずさんな警備で大丈夫なのかと、ひとごとながら心配になった。

 その警備に比べて、田んぼの写真すら撮らせまいとする担当者は見上げたものだというべきなのか。力の入れどころが少し違うのではないかというべきなのか。いずれにせよ、青々とした稲の写真は撮れずじまいだった。

 シエラレオネのビザは前日に出て、さて、「自由の国」リベリアから、「自由な町」フリータウンへ。飛んでいる時間は45分だけなので、きょうのフライトは短い。ちなみに、トーゴのロメからガーナのアクラ、リベリアのモンロビアと飛んだのと同じ会社の同じ便だった。

 出発が40分以上遅れ、着いたらもう暗くなっていた。ルンギ空港はフリータウンから離れていて、車だけではたどり着けない。

 10年以上前に来たころは、空港と市内を大きなヘリコプターがつないでいた。これがよく落ちると評判で、「舟に乗ったら船頭任せ」などとつぶやきながら何度か仕方なく乗った。そのヘリはもうないのか、海上をゆく高速船に誘導された。

 20人ぐらいが乗れる船で、前進するとへさきがかなり上がり、スピード感がある。それがスピードを上げたとたん、進行方向の左側から来た船と衝突しそうになった。操船のお兄さんが罵声を浴びせるが、どうもこちらに非があるような感じだ。

 いずれにせよ、何とか30分ほどで市内にたどり着いた。以前、泊まったホテルは今は営業していないようで、事前にネットで評判などを調べて「ビジネス客はここしかない」とあったホテルを予約した。これが、かなり山の上にある。

 市内のあちこちが道路工事中で、タクシー運転手はこちらを中国人と思ったのか「道路工事はどこも中国人がやっている。昼も夜も働く。ここも中国レストラン。あそこも中国レストラン」と説明してくれる。

 シエラレオネ編を始めて14回目で、やっとシエラレオネに到着した。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

PR情報
検索フォーム

注目コンテンツ

  • 写真

    【&BAZAAR】「音のカーテン」で騒音を遮断

    睡眠時や集中したい時に使える

  • 写真

    【&TRAVEL】豪華客船でショーを観劇

    現代風「鶴の恩返し」〈PR〉

  • 写真

    【&M】可士和氏「神は細部に宿る」

    今治タオル事業での新戦略

  • 写真

    【&w】安藤和津さんに聞く

    プラチナの魅力〈PR〉

  • 写真

    好書好日一条ゆかり、デビュー50年

    原動力は究極のナルシシズム

  • 写真

    WEBRONZA外国人労働者拡大の危うさ

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジン山本編集長が語る選ぶべき靴

    ビジネスで最適な一足とは?<PR>

  • 写真

    T JAPAN勅使川原三郎、ゼロに還る勇気

    プロとして表現し続けるために

  • 写真

    GLOBE+中国に学ぶ時代が来た?

    連載「創業@中国」

  • 写真

    sippoブログで見かけた柴犬

    やっぱり犬を飼いたい!

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ