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再生を目指す国々で 自分の狭量を反省 @ナイロビ

 コートジボワール、リベリア、シエラレオネの3国を訪れて記事を書きましたが、言葉についておことわりしておきます。

 記事にはいちいち書きませんでしたが、今回のシリーズの取材は、フランス語から英語、現地の言葉から英語、英語から英語に通訳してもらったもの、そして英語で直接取材したものが混在しています。

 難しいもので、英語で取材した場合でも微妙なニュアンスや言い回しの妙のようなことは記事に十分に反映できているとは思えません。通訳を介するとなおのことです。

 それでも、通訳を介すると相手が答えている間は表情をよく見たり、次の質問を考えたりできるという利点はあります。英語でやりとりしていると、メモは日本語でとるので、とてもそんな余裕はありません。

 リベリアの記事で、現地の英語の難しさについて書きましたが、その辺を少し。杉山正ナイロビ支局長が「askがアクスになるんですよね」と言っていましたが、それには気づいていませんでした。今回、こちらに来てみて、確かにリベリアでもシエラレオネでもみな「アクス」と言っていました。

 リベリアでは、日本の若者言葉ではありませんが、発音の省略というべきものがあるため、何を言っているのかよくわかりません。たとえば、道の物売りが頭に何かを載せて「コータ、コータ」と言って売っています。

 何だろうと思っていると、売っているのは小さなポリ袋に入れた水です。「cold water」が「コータ」というわけです。

 次に挙げるのは、道ばたでなにやら買った運転手が発した言葉です。「アマ」「テダ」「テザチェ」

 順に「how much?」「ten dollars?」「take the change」です。やりとりの場にいたのでわかるのですが、音だけではさっぱりで、通訳が必要になります。

 リベリアでは、アメリカから戻ったかつての奴隷の子孫と、現地に元から住んでいた人たちとの対立が今に至っています。英語の発音で、その系譜がわかるのだといいます。

 今回は西アフリカということで3カ国に行こうと欲張ったのがよくなかったと反省しています。でも、東から西に行くのは結構大変で、ついあそこも、と考えてしまうのです。

 結果、近隣3国の間の移動に忙殺されて、取材の時間がかなり制約されてしまいました。時間がないのでテーマが勝ってしまい、人と語らうという感じではなかったなと反省しています。テーマの掘り下げも不十分だと感じるのですが、動き続ける今の形をとる限り、この点は難しいと感じます。

 「風に吹かれて」という軽やかな気分になれなかったのも事実です。それにはいくつか理由があるのですが、たぶん西アフリカとあまり相性がよくないということがあるのでしょう。

 過去には、お金の問題で嫌な思いをすることが多かったのですが、それは減ったと思います。たとえば空港に着くと勝手にこちらの荷物を持っていって、後で運び賃を要求するということは、どこの空港でもなくなりました。

 でも、一緒に食事をしてこちらが払ってもそれを当然と感じるのか何も言わないとか、こちらの買い物のついでに何か買ってあげても何も言わないとか、みみっちいことですが、そういうことが重なると風に吹かれる気分ではなくなってきます。

 インターネット接続ができることを条件で選んだので、モンロビアでは高級なホテルに泊まったのですが、客あしらいがなっていないと感じます。

 最初のホテルでは、リモコンの電池が切れてテレビが見られません。テレビが見られないことはどうでもいいのですが、電池を替えるという努力を全くしようとしないのです。「電池がないので、テレビは見られません」。それきりです。

 そのホテルのネット接続がダメだったので、別のホテルに移ったのですが、ここでは部屋の空調が故障していました。空調が故障したぐらいはどうでもいいのですが、夜中じゅうピッピピッピ電子音を発して眠れないので、何とかしてくれと言っても、全く何もしません。

 もう明日チェックアウトという日、取材から部屋に戻ってみると、荷物がすっかり消えています。どうしたのか、とフロントに言うと、「あなたが文句を言ったから部屋を換えた」と言うわけです。親切はありがたいけど、普通は客の了解をとってからするものじゃないかと言うと、すごく不満そうな顔をします。

 いずれも紛争をくぐり、そこから立ち直ろうとしている国ばかり。もっと大きな気持ちでいなければいけないとは思います。でも、自分の狭量をさらすようで嫌なのですが、こういうことが続くのでとても「西アフリカ大好き」とはいかない。きわめつけは、オーバーブッキングの航空会社です。

 反省なのか不平不満なのかわからない状態になってしまいました。さて、これはナイロビで書いていますが、元旦にはまた風に吹かれてどこかの国にたどり着かなくては。アフリカ特派員時代、毎年クーデターが起きていたコモロか、植民地時代の負の遺産との戦いがはたん国家への道となったジンバブエか。まずはまた、ビザです。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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