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11月16日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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仏軍介入後のマリ やりきれぬ静けさ @バマコ

写真:ニジェール川に昇る朝日=17日、バマコ、ともに江木慎吾撮影拡大ニジェール川に昇る朝日=17日、バマコ、ともに江木慎吾撮影

写真:木陰に店拡大木陰に店

 日本とマリの間には時差が9時間ある。ニジェール川の向こうにオレンジの日が昇るとき、冬の日本はもうわずかな日だまりが消えるころだ。

 日本で朝刊づくりのたけなわはバマコの昼前、夕刊づくりはバマコの未明になる。今回のような大事件の場合、現場を抱える特派員は朝刊、夕刊、また朝刊と記事を書き続ける。取材ができるのは、午後の数時間しかない。

 そういう状況なので、17日は朝から杉山正・ナイロビ支局長、中野智明さんと3人別々の行動になった。杉山支局長は記事を優先して、当然、執筆が中心になる。

 中野さんには、マリの国防省への3人分の記者登録を進めてもらった。フランス軍の介入があってからか、登録の制度が変わったらしく、7、8枚の書類に緊急時の連絡先やらなにやらを書かされた。

 登録したからといって、たいがい何かがあるわけではない。でも、地方に出て検問などで止められた時、追い返されないための「通行証」のような役割は果たしてくれそうだ。この日も各国メディアが登録に訪れていた。

 こちらは別のことを目指していた。マリからアルジェリアに入れないか。朝からバマコのアルジェリア大使館とその交渉に追われた。バマコは台風の目の中にある。実際に激しい風が吹いているのは離れたところだ。中でも、隣国アルジェリアの人質事件はマリ情勢との関係が言われ、日本人が関係しているだけに、目指さなくてはならない現場だった。

 だが、ことは簡単ではない。交渉と言ってもアルジェリア大使館は、はなから「マリ在住者にしかビザは発給しない」という立場だった。緊急時なので、そこは何とか例外を認めてくれないか。そう頼むしかない。考えうる協力は仰ぎつつ、あとはひたすら待つ身となった。

 中野さんは午前中に国防省への登録申請を終えた。実際に登録が済むのは数日後らしい。杉山支局長も記事の執筆を終え、午後はいっときアルジェリア大使館に合流した。でも、待っているだけでは新聞に書くこともなくなるので、中野さんとともに取材に出かけた。

 昼下がり、やけに蚊の多い大使館の警備室で3時間が過ぎた。そうしているうちにも、事態は急変していた。蚊を追い払うことしかないこの場の静けさがもどかしく、やりきれない。

 結局、大使館は原則を曲げてはくれなかった。何も達成できずに2日間が過ぎるというのはこれまでもあったけれど、これだけ周囲が動いている時に止まったままだと無力さにため息が出る。

 本国が攻撃を受けた割に、アルジェリア大使館にはあまり緊張感が感じられなかった。外に数人いた憲兵隊は、事件前にはいなかったらしいけれど。街にも戦争の影は見えない。だが、きちんと見えていないからかもしれない。

 この国はとても乾燥していて、一日が過ぎると目がすっかり乾いてしまう。でも、明日からはもう少し目を見開いていかなくては。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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