路上の旅も5日目になると、見るものすべてが珍しく心動かされる時はもう過ぎている。今回は同じ道を行ったり来たりしたのでなおのこと。きょう24日は首都バマコに戻る。4時間ほどかかる。
これまで、車窓から見える鳥については書いてこなかったけれど、小サギのような鳥がたくさんいた。水辺でもないのに、カワセミらしい瑠璃色の姿も見えた。
緑色のインコに、紙飛行機のようなたどたどしい飛び方をする尾の長い鳥。町の市場に行けば、ホロホロ鳥やハトが食用に売られている。
バマコには、これまでのアフリカの国ではあまり見なかった馬が多くいた。地方に行くと、ロバが圧倒的に多い。尻を棒でたたかれて短めの脚をすばやく前後させる姿は痛々しい。朝方に聞こえる鳴き声があわれを誘うのは、その姿の印象からかもしれない。
見かける犬が、意外に立派だと感じた。アフリカには貧相な犬が多い。飼われているのかいないのかわからない、鼻先のとがった中型犬が目立つ。やせ細っているせいか、おびえているように見える。マリの犬は同じような種類だが、肉付きがいい。
子ウシほどの、大きな羊を見かける。マリ北部に多いらしい。骨張った牛が貧相に見えるのとは好対照だった。
牛ついでに言えば、暑い昼間に木陰に静かに収まっている大量の牛をしばしば見て感心した。互いに触れそうになりながら、わずかな日陰を分け合っている。
時々、少年たちが道ばたでマラカスのようなものを振っている。ワサンバといって、木にひょうたんを切ったものを通して楽器にしたものだ。男子の成長のあかし、割礼を受けた子がワサンバをもらえる。戦士の歌を口ずさみながら、通る車に祝いの金を求めているのだという。
この国には、ほかのイスラム教の国同様に、女性の割礼も行われているという。ナイロビ特派員時代に何度か女性器切除について取材した。男性の割礼と違い、女性の割礼は利点が何もない因習だとして、ユニセフなどがなくそうと取り組んでいた。
チンゴレという村に止まった。シアバターノキの種からつくるバターについて説明してくれると、この日から一行に加わった通訳が言う。
シアバターノキの実は6月ごろに収穫、食用にされる。緑色で甘いという。種は様々な用途に使われる。乾燥させてからを砕き、粉にして火にかけてバターをつくる。褐色の種が、白いバターに姿を変える。風邪などの薬にもなり、化粧品としても使われるという。
バターをもってきてくれたので、味見させてもらった。乳からつくるバターのうまみ、甘みはないけれど濃厚で、植物特有の香りが残る。このシアバターノキの種はチョコレートにも利用されているらしい。
少し行ったところで、フランス軍の大きな部隊が止まっていた。地元の人たちが旗を振ったり、記念撮影したりしていた。もう何度か見た風景だった。
兵士の側も手を振って応え、運転席から携帯電話で歓迎ぶりを写真に収めている。熱狂に包まれたこのつかの間は、兵士たちには戦いを前に心穏やかになれるわずかな時なのだろう。
一行が出発するのを見届けて、バマコに戻った。この日は初めて、大きなトラブルがなく終わった。バマコを出て計2250キロ、マリ南部を走り回った5日間だった。

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。