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「アラブの贈り物は、実は毒なのだ」 @バマコ

写真:ウスマン・マダン・ハイダラさん=25日、バマコ、中野智明氏撮影拡大ウスマン・マダン・ハイダラさん=25日、バマコ、中野智明氏撮影

写真:ジェルノ・ジャンさん=25日、バマコ、江木慎吾撮影拡大ジェルノ・ジャンさん=25日、バマコ、江木慎吾撮影

写真:祈りが終わり、町のにぎわい=25日、バマコ、中野智明氏撮影拡大祈りが終わり、町のにぎわい=25日、バマコ、中野智明氏撮影

写真:金曜の祈りの後、町に散る人たち=25日、バマコ、中野智明氏撮影拡大金曜の祈りの後、町に散る人たち=25日、バマコ、中野智明氏撮影

 バマコに戻り、杉山正・ナイロビ支局長や中野智明さんとは別れて行動することにした。これまで前線を目指すアフリカ特派員の取材ぶりをそのまま書いてきたけれど、少し自分でも取材しようと思ったからだ。

 イスラム教徒がイスラム教徒を攻撃する。別の宗教同士の争いよりも、外からはわかりにくいことがここマリでは起きている。その状況をどうとらえ、どう解決しようと思っているのか。宗教指導者たちに聞いてみた。

 ジェルノ・ジャムさんは厳格なイスラムとは一線を画す非主流派のスーフィーという一派を率いる宗教指導者で、マリ人権保護協会の副会長も務める。1955年に生まれたという。

 「アルジェリアの人質事件で日本人に多くの犠牲者が出て、とても痛ましく思っている。アルジェリアは武装勢力との交渉はしないという立場だった。でも、マリ北部の武装勢力への軍事介入には反対する立場だった。矛盾している」と話す。

 日本が早い時期からマリのウラン開発に携わり、様々な援助でこの国を支えてくれたと感謝しつつ、バマコの大使館を一時閉鎖するという決断はとても残念だと話した。日本がマリから引くことに懸念を表明するのは、フランスの介入を必ずしも歓迎していないからだ。

 「私は手をたたくことはしない。見送るが、仕事を終えれば、帰ってもらいたい。そうはならないことは、わかっている。人道的立場だけで他国に介入する国などありえない。そこに利害が必ず絡む。フランスが居続ければ、植民地時代への逆行に思える」

 フランス歓迎一色の風が吹く中、一歩引いた立場でそう発言する。

 なぜ同じ国の中でイスラム教徒同士が殺し合うようになるのか。ジャムさんは、これまで会った人たちと同様に、貧しさ、金ほしさがイスラム過激派に人々を引き寄せていると語った。それが、自分たちの国をもったことのなかったトゥアレグ人たちの立国運動と結びついて、マリ北部の動きを生んだ。もう一つ、ジャムさんが語った問題点が教育だった。

 「アラブの支援を受けた私立のマドラサ(学校)が林立している。マリ国内に千以上ある。これらの学校がアラブ流のイスラムの過激な思想を広めている。90年代から、危険な兆候だと警告を発してきたが、聞き入れられることはなかった」

 過激な思想とジャムさんが言うのは、厳格なイスラムを唱えるワッハーブ派の教えだ。ただ手をこまぬいているだけではいけないと、国内の宗教指導者らが、こうした教えに反対する動きを起こしている。

 その動きを主導しているのが、アンサル・ディーンの指導者のウスマン・マダン・ハイダラさんだ。55年生まれ。アンサル・ディーンといえば、マリ北部を実効支配する武装勢力だが、その一派はハイダラさんたちの正統派アンサル・ディーンの名を勝手に名乗っているだけだという。ややこしい。

 83年に正しいイスラムを追及する動きとして始まったアンサル・ディーンは正式な登録で80万人以上、マリのほかコートジボワール、ブルキナファソなど周辺諸国を含めて800万人の支持者がいるという。

 「私たちは、アラブの国々から来る贈り物は実は毒なのだと主張してきた。彼らのやり方を広めたいと思っているだけだと。時限爆弾のようなものだ。だが、アラブのマドラサは無料で制服まで支給してくれる。教師の給料はマリの普通の学校の4倍にものぼる」

 こういう状況で、貧しい家庭がアラブの学校に子どもを送ることを止めるのは難しい。ハイダラさんらが唱えているのは、必要最小限の政府による介入だ。

 ハイダラさんは、マリ北部を支配する武装勢力から攻撃対象にされていて、事務所周辺はものものしい警備で固められていた。アンサル・ディーンの各国メンバーが、マリ北部を支配する同名の組織の人間と間違われて逮捕、拘束されるケースが相次いでいるという。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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