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平和と観光客を…慈雨を願う市場 @バマコ

写真:閑散とした工芸品市場=27日、バマコ、いずれも江木慎吾撮影拡大閑散とした工芸品市場=27日、バマコ、いずれも江木慎吾撮影

写真:いろんな頭が売られている。伝統宗教に用いるらしい拡大いろんな頭が売られている。伝統宗教に用いるらしい

写真:オレンジっぽい色をしたバルー。マラリアに効くらしい拡大オレンジっぽい色をしたバルー。マラリアに効くらしい

 27日は取材の予定を入れようとしたけれど、日曜日で難しかった。この日の夜にバマコを出発する便でナイロビに戻ることにしたので、それまでの時間がすっぽりあいた。

 マリでは、ほとんど街を歩く機会がなかった。最初は様々な登録に追われ、ついで前線近くを目指して車で行ったり来たりした。世界遺産の町ジェンネを訪れながら、朝の散歩だけで町を通り過ぎた。

 残念だったが、紛争地の取材が目的だった。それにマリに入ったとたんに、アルジェリアの人質事件が発生した。とてもじゃないが、のんきに風に吹かれていられなかった。そういうこともあって、町を歩くということを今回はしていなかった。

 帰る日になっていまさらだけど、中央市場に行ってみた。日曜日なので、それほどの人通りはない。この季節のマリにしてはきわめて珍しいことに、雨が降り出した。

 マリの人たちのあいさつは、道で会っただけで延々と続くのだが、そこに天気の話題が加わった。「雨期が2度来るのだろうか」「平和をもたらしてくれる雨かもしれない」などなど。雨はやむことなく、夜までしとしとと降り続いた。

 中央市場の向かいにある、工芸品の市場に出かけてみた。当然のことだが、観光客の姿は全くない。ふだんは人がいっぱいで歩くのが困難らしいが、こうなると別の意味で歩くのが困難だ。

 こちらは、戦争の影響で大変だろうと見に来ただけなのだが、「コニチワ」「アリガト」「ヤスクスル」など、どこの店も引き込もうと躍起だ。「見るだけでいい」と引っ張られても、やはりそこは商売だ。いろいろ売りつけようとする。

 取材のついでに買い物、ということができない。心が切り替えられないので、何をみせられても響くことがない。申し訳ないけど振り切って店を後にすると、それでも「ボンボヤージ」「アリガト」と機嫌良く送り出してくれるのは、見上げたものだ。

 市場の一角では、コクタンを削って、工芸品に仕上げる作業をしていた。マリの観光シーズンは比較的過ごしやすい10月から3月。残り少ないシーズンに、平和と観光客の到来を祈りつつ、作業を進める。

 一緒にいる通訳は、本来は観光ガイドだ。500人以上の登録ガイドがいるそうだが、メディアの通訳にありつければ幸運。本職は全く成り立たない状態が続いている。そのガイドが、市場の一角へいざなう。

 様々な動物の頭部が売られていた。ワニ、サル、カメレオン、イヌに見える動物も。マリの伝統的宗教に用いるらしい。すぐそばにバマコ最大のモスクがあり、そういう場所で伝統宗教がらみの物品が売られていることが、マリがもっている寛容性を示しているのだとガイドは言いたかったらしい。

 人々に厳格なシャリア(イスラム法)を強制し、盗みの疑いだけで手を切り落とすような非寛容の宗教は、本来のマリにはあり得ない、というわけだ。

 現地の草木でつくる伝統薬も売られていた。煎じて飲むとマラリアに効くというバルーという木の樹皮を売っていた。オレンジっぽい色のその樹皮をなめてみると、ウコンのような味がした。そういえば、ここは蚊が多く、よく刺された。

 雨が強くなってきた。そろそろ、空港に向かう時間だ。先月、西アフリカからナイロビに戻る時、セネガル発バマコ経由の夜行便を利用した。きょうのフライトも同じ便だった。

 先月はバマコからナイロビが約6時間だった。きょうは8時間かかる。マリ情勢によってバマコの空港で給油できなくなったため、途中ガーナのアクラに寄らざるを得なくなったのだ。そんなところにも、戦争は影を落としている。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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