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11月20日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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より厚みのある報道へ 紛争地取材を終えて @バマコ

写真:中央市場にて=いずれも27日、バマコ、江木慎吾撮影拡大中央市場にて=いずれも27日、バマコ、江木慎吾撮影

写真:昔はこれが通貨だった拡大昔はこれが通貨だった

写真:日曜日とあって、あちらこちらで結婚式が拡大日曜日とあって、あちらこちらで結婚式が

 今回のマリ行きは、内戦が激化してフランス軍が介入するという機をとらえて現地に入った杉山正・ナイロビ支局長に同行する形になりました。アフリカに来たときから「いつか一緒に何かを」と考えていたのですが、狙いを定めて現地に入って記事を書く新聞の記者と、ブログのような記事のような、あいまいなものをほぼ毎日、ウェブで展開しているこちらとがどう協力しあえるのか、よくわかりませんでした。

 紛争地や一触即発の政治状況にある国を多く抱えるアフリカの特派員は、時に戦いの前線を目指すことになります。その思い、考え方とともに、行動をつぶさに報告できれば、特派員の現場ルポとあいまって、より立体的にというか、わかりやすく現地の情勢が伝わるのではないかと考えました。

 そういう方針に徹したのは、通訳が1人しかいなかったという事情が背景にあります。これは準備の不手際で、軍や情報省の登録作業に追われている間は通訳1人しか必要なかったため、この1人しか一行のメンバーに登録しなかったというのが実情です。

 私たちの進行状況が時間差なく「風に吹かれて」に出て、要所に到着したときに新聞の記事が出る。そんな状況を思い描いたのですが、そうはなりませんでした。こうした同時進行は色んな面で支障をもたらすことが考えられたからです。そこで「風に吹かれて」は新聞の記事を追いかけて展開しました。毎日、記事が出ていなかったのは、このためです。

 もう一つ、難しい問題がアルジェリアの人質事件でした。私たちがナイロビから飛行機に乗って、マリに着く間に事件の発生が明らかになりました。事件がマリの情勢と直接つながっていると伝えられ、こちらとしても何とかアルジェリアに入れないか、マリから試みました。力及ばず、果たせませんでした。

 このように日本人が巻き込まれる不幸な大事件が発生している時に「風に吹かれて」というのは、タイトルからしてどういうものか。そういう考え方があったと思います。

 もとより、今回はこれまでのように能天気な旅を書くつもりはなく、前述のように紛争地を抱える特派員たちがどう考えて、どのような行動をとるのかを中心に書くつもりでした。それでも、重ねてきたこのコラムの雰囲気があって、それが紛争地や大事件のさなかの空気になじまないといわれれば、確かにその通りです。

 そこで「風に吹かれて」は休んで、ツイッターだけで短く伝えていこうと思い、そのように予告もしました。しかし、すでに書いていた記事の1、2回目を東京のデスクが通してくれたので、予告に反してずっと「風に吹かれて」として続いたわけです。

 これまで、ツイッターは各地でつながりにくいという問題があり、パソコンで打っているという事情もあって、何かをしている途中につぶやくことが簡単ではありませんでした。

 そのせいで、ツイートの数にだんだん「風に吹かれて」の記事の数が追いついてくる有り様でした。今回、ツイート中心で少し差を広げられるかと思いましたが、逆に詰まる結果になりました。

 マリでは空爆の威力がものをいい、今のところフランス軍・マリ政府軍が武装勢力に奪われた拠点を次々に奪還しています。でも、もしもこの戦争が単にマリの内戦ではなく、欧米がいうようにテロとの戦争であるならば、武装勢力は散ってもテロ分子として残るでしょう。ソマリアの内戦のように、市民の中に半ば溶け込むようになってしまえば、根絶することはとても難しくなるはずです。

 武装勢力をたたく戦闘局面が終わったとしても、長く尾を引く可能性を感じます。その紛争地の取材、紛争の背景をひもとく取材を、杉山支局長とフォトジャーナリストの中野智明さんは続けています。

 今回、こうした試みをしてみて、うまくいけば伝える情報が身近になり、報道に厚みをもたせられるのではないかと感じました。一方で、走る速さや距離の違う者同士が一緒に走っているようなところはあります。もしこのコラムが続くなら、再びどこかで挑戦してみようかと思います。

 そんなことを考える間、雨のバマコ空港を大型輸送機が次々と飛び立って行きます。そういえば、27日はバマコ市内の路上で売られる小旗がマリ国旗と星条旗になっていました。フランス国旗は売り尽くしたという面もあるでしょうが、米軍が輸送でフランス軍を助けていると伝えられたからでしょう。路上の物売りたちも、戦争の動きに即応する態勢のようです。

 紛争地取材を続ける様々なメディアの記者たちと離れ、こちらはまた風に吹かれる旅を続けることにします。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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