昨年10月からアフリカ各国を旅するコラムを続けている。3月にいったん日本に帰国するためケニアの首都ナイロビを去る直前、町は大統領選の結果待ちの緊迫の中にあった。結果的に負けたオディンガ前首相の支持基盤、市の中心部に近い大スラムのキベラでは、散発的に暴力事件が起きていた。
特集・アフリカはいまそれから2カ月、大統領選は前回2007年のような大規模な民族間の流血もなく終わり、再び訪れたナイロビにはいくぶん将来への期待のこもった、ざわざわした日常が戻っていた。
いつも使うタクシー運転手のアントンとそんな話をしていて、キベラに行こうということになった。同じく巨大なスラムから町へ転じている南アフリカのソウェトと違い、キベラはスラムという言葉の印象通りの場所だ。起伏のある丘にさび色のトタン屋根が連なり、100万以上と言われる人々がひしめく。