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09月20日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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復活を夢見る鉱山と鉄砲水に流された村 @カセセ

写真:地盤が流され、基礎が露出した川沿いの住宅拡大地盤が流され、基礎が露出した川沿いの住宅

写真:操業が停止したまま四半世紀が立った銅鉱山拡大操業が停止したまま四半世紀が立った銅鉱山

写真:中の銅が膨張して破裂したタンク拡大中の銅が膨張して破裂したタンク

写真:坑道の中拡大坑道の中

写真:道沿いにあった温泉。真ん中の棒から手前は飲料用だという拡大道沿いにあった温泉。真ん中の棒から手前は飲料用だという

写真:説明するヤオロバングさん=いずれも江木慎吾撮影拡大説明するヤオロバングさん=いずれも江木慎吾撮影

 ウガンダに入って連日、長い移動をしてきた。毎日移動していると洗濯をしたり洗濯に服を出したりする時間がないので、25日はそのための日にしてウガンダ西端の町カセセにとどまった。

 カセセの郊外にキレンベという村があって、ここが2週間ほど前の日中に鉄砲水に襲われたというので行ってみた。

 川沿いに建っていた家は流され、橋も壊れて車が通れなくなっていた。集落の真ん中を流れがえぐり、基礎が骨のようにむきだしになった家があった。家が流された跡をみると、東日本大震災の現場を思い出す。ここでは8人が死んだが、日中で直前に水が襲ってくるのがわかっていなかったら、被害はもっとひどかっただろうと地元の人は言った。

 ここにある家は、鉱山労働者の住宅というたたずまいだ。ウガンダで知られたキレンベ銅山がここにあったからだ。1970年には6千人を雇い、1万7千トンの粗銅を生産していたが、独裁で知られたアミン政権が誕生しカナダの会社から営業権を国が買い取った後、79年に操業停止、82年には休眠状態になった。

 だが、操業再開をあきらめたわけではなく、300人あまりで維持管理を細々と続けている。敷地に入ってあたりを見ていると、キレンベ鉱山を表すKMLという白文字が書かれた紺色のつなぎ姿の男性が近づいてきて案内を始めた。

 ここの維持管理を任された一人のヤオロバングさん(38)で高校を出た20年ほど前から働いている。すでに操業を停止していたので、実際に探鉱に携わったことはない。

 ヤオロバングさんによると、鉱山を動かした電力施設をいかして電気や電柱を売り、維持管理にあたる人たちの給料をまかなっている。それに、たまに現れる客に現地を案内して案内料をもらっているらしい。

 案内してくれた施設は坑道を除けばどこもさび付いて倒壊寸前といった状態だ。再開しようとする人がいるのか不思議だったが、実際に中国、オーストラリアなどの企業が関心を示し、入札も行われ再開の方向に進んでいる。銅よりも、コバルトが目当てなのだという。

 色を失ってしまったような世界で、あたりを流れる廃水だけが乳白色とエメラルドグリーンが混ざった毒々しい鮮やかさをみせている。イタリアの企業が据え付けたリフトは、かつての黄色がかすかにうかがえ、だれかが乗ったらそのまま崩れてしまいそうにじっと止まっている。

 鉱山を離れ、キセセの町に戻る道のすぐ脇に温泉がわいていた。数人の地元の人たちがパンツをはいてつかっている。手をつけてみるとちょっと熱め、40度ほどだろうか。

 温泉の真ん中に棒が渡されていて、その片側から小さなあぶくがとぎれることなく浮いている。そちら側は飲み水用なのだそうだ。飲むと体が内側からきれいになるのだと言って、頑健そうな若者が片手ですくって飲んだ。水はにごっていて体にいい成分にたどり着く前に、腹をこわしそうだった。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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