メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

09月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

「カニウッド」スターにインタビュー @カノ

写真:路上でCDやDVDが売られている=いずれも中野智明氏撮影拡大路上でCDやDVDが売られている=いずれも中野智明氏撮影

写真:立派なパッケージの映画も拡大立派なパッケージの映画も

写真:俳優とは、と語るムスタファ・ムスティさん拡大俳優とは、と語るムスタファ・ムスティさん

 アフリカ通ならば、ノリウッドを知っている。ナイジェリアは映画大国で、インドのボリウッドよろしく、その映画をノリウッドと称している。

 でも、カニウッドを知っている人はそんなにいないのでは。ノリウッド映画のうち、カノが制作拠点の映画を言う。ノリウッドは一般的に英語の映画なのでアフリカ各地でよくみる。カニウッドは西アフリカで話されるハウサ語の映画なので、ハウサ語圏以外ではあまり目にすることはない。

 カニウッドのプロデューサーや監督、俳優が集まる事務所を訪れた。狭い部屋に6人ほどがいたが、プロデューサー、プロデューサー兼俳優、プロデューサー兼監督と、1人何役もこなすつわものぞろいだ。

 聞くと、カニウッド映画の本数はノリウッド映画の4割を占めるという。と言われても実感がわかないので、新作は月に何本ぐらいか尋ねると、40本というから驚く。

 新作映画は街の映画館で3、4回上映されることもあるが、即DVDということが多い。公開する慣習がなかった。そういう方法も模索するらしい。今のところは、DVDの販売が映画制作の中心だ。

 1本の制作に2カ月かかる。スタジオはないので、撮影はロケだ。カニウッドには300人以上のプロデューサーがいるそうだ。

 で、肝心の中身だけれど、不誠実で申し訳ないことにハウサ語を話せないのでみたことがない。そこで人気俳優のムスタファ・ムスティさん(35)に紹介してもらおう。

 これまで50本以上の映画に出た。代表作に「JAMI」「FATI」がある。両方とも女性の名前で、女性がお年寄りを車でひきそうになったり、夜遅くまで音楽を聴いたりして、霊にとりつかれ、幸せを奪われるという筋らしい。ムスティさんはそれぞれ女性のいいなづけと、兄を演じた。

 夜遅く音楽を聴いて霊にとりつかれては割に合わないと思うが、文化の違いとしか言いようがない。霊にとりつかれたと説明される出来事が実生活にも多いらしく、非現実的とは思わない土壌があるようだ。

 つまるところ、それとなく正しい生き方へ導く映画が多い。歴史もの、中東の出来事をナイジェリア流にアレンジした物語がある。むろん、ロマンスも。だけど、キスはもちろん、抱擁も手をつなぐことも基本的に許されない。というように、イスラム教の強い影響を受ける。

 俳優にやりがいを感じるムスティさんも、演技を通じて人をよい方向に導く役割を重く感じている。宗教的な制約のないノリウッドの映画にも出演したことがあるが、女性と抱擁するシーンがあったのでそこだけ外してもらったという。

 もし俳優業を突き詰める中でハリウッド進出のチャンスが来て、それがキスシーンのある役だったら。「たとえ一こまであってもハリウッド映画は俳優の夢です。教えからそむくかもしれないけど、神に対する不実にはならないと思う。カニウッドファンも、キスシーンをけしからんというより、自分たちの俳優がどんな演技をみせるかを楽しんでくれると思います」

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

PR情報
検索フォーム

注目コンテンツ