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09月18日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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狙われた首長と一族のウサギ耳ターバン @カノ

写真:アッバス・スヌーシさん=いずれもカノ、中野智明氏撮影拡大アッバス・スヌーシさん=いずれもカノ、中野智明氏撮影

写真:猛暑の中の一陣の風拡大猛暑の中の一陣の風

写真:バイクタクシーに代わって、投入された大型バス拡大バイクタクシーに代わって、投入された大型バス

 必死に思い出しているのだけれど、昨年10月来アフリカの旅を続けて冷房のきく車に乗っているのはソマリアのAU(アフリカ連合)軍と、マリに続いて3度目のような気がする。でも、そのエアコンも昨日あたりからかなりあやしくなってきた。けだるく暑い日が続いている。

 整ったアブジャから来てみると、カノは混沌(こんとん)の街に映る。首都からずっと一緒の運転手アバチャは「標識がどこにもなく、道がわからない」と嘆く。アブジャより人口が多い割に目立つ建物もなく、どこへ行ってもさほど表情の変わらない街にも見えてしまう。

 車、バイク、アデイデイタと呼ばれる三輪タクシーが我先に交通の隙間に突っ込み、道はどこも渋滞している。おまけに所々に検問がある。レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ向けの武器を大量に隠し持っていたレバノン人が市内で逮捕されたばかりで、外国人への警戒も強まっているようだ。

 ナイジェリアが英国の植民地となる前、カノは首長に率いられていた。その首長はいまも存続している。直接的な統治者ではないものの、特にイスラムの世界では大きな影響力を握っている。いまのアドバヨール首長はすでに50年間、その地位にいる。

 今年の初め、首長の車列が武装したグループの襲撃を受け、首長の運転手ら4人が殺された。イスラム武装勢力のボコ・ハラムの関連とみられている。首長は治療のため英国を訪れていたが、このほど帰国した。

 面会できないか申し込んだら、多忙な首長に代わって補佐で弟のアッバス・スヌーシさん(71)が会ってくれた。

 ボルノ州など3州に非常事態宣言が出て、対ボコ・ハラムの掃討作戦が行われていることについて尋ねた。どう感じているのか、どのようにすれば平穏が戻るのか。

 「不幸なことだ。敵に対して起きていることについても、憂慮している」

 「神にこの事態を早く収拾してもらいたい。そう祈るとともに、人々にはこれは色んな国で起きていることであり、いずれは収まる、焦るなと語りかけている」

 ――あなたが敵と呼ぶ勢力はおそらくボコ・ハラムを指すのだと思いますが、首長が襲われ、カノの街が襲われた後で、彼らを許すことはできるのですか。

 「無条件に許すことはできない。敵の行為の背景について調べなければならない。その目的が何だったのか。もちろん、敵が悔い改めて許しをこうならば、許さなければならないが」

 アッバス・スヌーシさんは写真を撮る時、ウサギの耳のような突起があるかぶりものをしていた。それは特別なターバンを巻いたもので、神アラーのアラビア文字を表現している。首長の一族にのみ、許されたかぶりなのだという。

 本当はカノに2泊でアブジャに戻るはずだったが、1日滞在を延ばした。カニウッド映画のロケを見ることができる可能性があると聞いたからだ。結果的にそれは空振りに終わった。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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