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ノリウッド映画の行方 @ラゴス

写真:シャイブ・フセイニさん。ジャーナリストの傍ら、国立劇場でもアドバイザーをしている=中野智明氏撮影拡大シャイブ・フセイニさん。ジャーナリストの傍ら、国立劇場でもアドバイザーをしている=中野智明氏撮影

写真:数は少ないけれど、映画のビルボードも拡大数は少ないけれど、映画のビルボードも

写真:大都会ラゴス拡大大都会ラゴス

 ハリウッドと同様に、ノリウッドという場所がナイジェリアにあると思う人がいるかもしれない。そんな場所はない。ノリウッドはナイジェリアのNをとってハリウッドと張り合わせた造語だと言われているが、別の説も聞いた。なにもない(NOTHING)ところから映画をつくる「N」だというものだ。

 年に2千とも2500とも言われる映画が送り出されている。映倫のような検査をへているのは千数百なのだが、検査をくぐらずに市場に出回るビデオやDVDが多い。

 ノリウッドの歴史は、たかだか20年というところ。これほど多くの映画をつくるようになるには、完成、即ビデオ化という流れができあがっているからだ。ナイジェリア北部のカノを中心としたカニウッドでも同じだった。その背景には、ナイジェリアの映画館事情がある。

 ナイジェリア映画に詳しいジャーナリストのシャイブ・フセイニさんによると、これだけ映画をつくる国に、ちゃんとした映画館は32館しかない。独立以降、続いた軍政下で映画を始めとする文化は抑圧の対象だった。民主化以降は、人々の生活向上に政治の力点が置かれ、映画はないがしろにされた。映画をはぐくむ土壌が整わないうちに、映画制作だけが先行していった。

 だれもが映画プロデューサーになることができる。来るも自由、去るも自由という環境が、低い予算(NOTHING)で大量の映画を生産するノリウッドをつくっていった。もう一つ、テレビドラマがナイジェリアでは人気を呼んでいた。テレビドラマの人気を背景に、映画へ俳優たちが出演していった。

 あらゆるところに物語を求める。カニウッドの場合は、インド映画のようなミュージカル仕立てながら、厳格なイスラム教の影響を濃く受けていた。だが、ノリウッドは何でもありの自由さが売り物だ。

 でも、それではノリウッド映画の核というか背骨というか、ノリウッドをノリウッドたらしめるものは何なんだろう。フセイニさんは、ナイジェリアの暮らし、文化、日常に題材を求めることだという。自分たちとかけ離れた世界につかるのではなく、みる人は自分たちの暮らしと重ねあわせながら映画を楽しむのだという。

 ノリウッド映画の中には国際的な評価を受けるものも出ているが、数撃ちゃ当たる式の制作の現状は曲がり角を迎えている。

 映画の品質を向上させるには、映画館で上映する機会が必要だ。まとまった興業収入がなければ、映画制作費を回収できない。制作費の多寡は必ずしも映画の質と一致しないとしても、ある程度の資金がなければ基本的な映像の質にかかわる。

 ただ、ラゴスの映画館は入場料が1000ナイラと、620円ほどする。日本よりはるかに安いが、ここの人たちの生活水準からすれば、かなり高い。映画館の数が少ないので、価格が下がらないという面があるのだろう。

 ガーナやケニアなど、注目を集めるアフリカ映画の生産国は他にもある。こうしたアフリカの国同士で一緒に映画を制作する仕組みができないか。制作スタッフが機材をもって自由に行き来できる環境ができれば、アフリカ映画はもっと発展できる。制作費の捻出にも一助になるだろうとフセイニさんは話した。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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