メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

11月15日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

物語あふれる地 話題の映画監督に聞く @ラゴス

写真:クンレ・アフォラヤン監督。俳優でもあり、ひげはその役づくりのために伸ばしているという=中野智明氏撮影拡大クンレ・アフォラヤン監督。俳優でもあり、ひげはその役づくりのために伸ばしているという=中野智明氏撮影

 昨日は、いささか唐突にノリウッドの話を始めてしまった。首都アブジャから北へ、南へ、南東部へと足を向け、最後にラゴスにやってきた。北部ではカニウッドという耳慣れない映画産業の地を知った。ラゴスにいられるわずかな時間、ナイジェリアの映画産業ノリウッドと、新しい音楽の話に触れたいと考えた。

 ラゴスに注目を集める映画監督がいる。クンレ・アフォラヤンさん(38)はアフリカや欧米で数々の賞を受賞している。つい先月、シネマアフリカという映画祭に招かれ、東京を訪れたばかりだ。電話すると、日本ではみんなに親切にしてもらったと、時間をつくって会ってくれた。

 東京では最新作の「Phone Swap(恋するケータイ)」が上映された。高慢で合理的なエリート男性と、いなか出身の純朴な女性の携帯電話が入れ替わって始まるラブコメディーだ。主人公のエリートは、地元ナイジェリアの食べ物すら口にしない。私たちがこの国に来てほぼ毎食、地元食に親しんでいることを考えると、奇異な設定にも思えた。

 その点を尋ねると「私たちの社会には階層が存在する。互いに分断されているように見えて、実は互いに必要としあっていることを言いたかった」と話す。

 背景に、監督の映画観もにじむ。「アフリカやアジアの映画にはその土地の文化が色濃く反映されるが、欧米の映画には慣習しか感じない」。ただ、アフリカの文化もアジア同様に欧米化に伴って失われてゆく。だから、身の回りの文化、自分たちの言葉を大事にして映画を撮りたいという。「アフリカには物語があふれている」

 ノリウッドの監督と呼ばれることには、複雑な思いもあるようだ。「私の映画をみる人は、5分もたつと『これはノリウッドではない』と言い出す。ノリウッド映画で彼らがイメージしているのは、ストーリーだけの粗悪な作品のようだ」

 「私の最新作のように40万ドルの制作費をかけた映画も、もっと少ない制作費でつくられた映画も、だれかに向かってつくられている。ナイジェリアの映画の中には、ハウサ族やヨルバ族に向けた映画もあるし、私のように世界に向けて発信する映画もある。どんな観客に向けてつくるのかを明確にすることが大事で、みられることのない映画をつくるのは犯罪だ」

 ノリウッドも曲がり角にきていると監督も感じている。アフリカの各国の関係者が手を携えて映画をつくる日がくればいい。前日のフセイニさんと同じことをクンレ監督も話した。「エンターテインメントこそが、世界を一つにつなげられる。韓国のガンナムスタイルなんて、何の意味かはわからないけれど、ここでもみんなが踊って楽しんでいる」

 著名な映画監督のアデ・ラブを父にもち、いったんは銀行勤めをした後、俳優に、そして映画監督になった。次作は、ナイジェリアの独立期のヨルバ族の村を中心にした犯罪もので、近く撮影に入る。「色んなものを揺るがす大作の手応えがある」。日本企業もスポンサーに名を連ねている。

 「October 1」。1960年にナイジェリアが英国から独立した日をタイトルにする。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

PR情報
検索フォーム

注目コンテンツ

  • 写真

    【&BAZAAR】「音のカーテン」で騒音を遮断

    睡眠時や集中したい時に使える

  • 写真

    【&TRAVEL】豪華客船でショーを観劇

    現代風「鶴の恩返し」〈PR〉

  • 写真

    【&M】可士和氏「神は細部に宿る」

    今治タオル事業での新戦略

  • 写真

    【&w】安藤和津さんに聞く

    プラチナの魅力〈PR〉

  • 写真

    好書好日一条ゆかり、デビュー50年

    原動力は究極のナルシシズム

  • 写真

    WEBRONZA外国人労働者拡大の危うさ

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジン山本編集長が語る選ぶべき靴

    ビジネスで最適な一足とは?<PR>

  • 写真

    T JAPAN勅使川原三郎、ゼロに還る勇気

    プロとして表現し続けるために

  • 写真

    GLOBE+中国に学ぶ時代が来た?

    連載「創業@中国」

  • 写真

    sippoブログで見かけた柴犬

    やっぱり犬を飼いたい!

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ