ナイジェリアの音楽シーンで注目のアーティストを紹介してほしいと、現地の通信社の芸能担当記者にお願いして、そのつてでKONGAに会うことになった。コンガというのはミュージシャンとしての名前でもあり、彼の音楽スタイルでもあるのだという。
14日にラゴスのスーレリ地区にあるスタジオで曲の録音があるという。そこに出かけていった。スタジオといっても、普通の家の1階を改造した狭い場所だった。渋滞を警戒して随分早く着いてしまったが、時間通りに現れて「お待たせしてすみません」と笑顔で握手を求めてきた。中野智明さんとはハグをかわした。気さくな人物だった。
元はラゴス島の路上で歌うラッパーだった。ナイジェリアのクラブにナイジェリアの曲が流れないことに疑問を感じ、自己流のヒップホップに転じた。2001年に作った「ベビー・コンガ」が2年後にヒットし、英国でもレコーディングをした。曲名から、コンガと呼ばれるようになり、それが歌手名になった。
といっても、何事にも門外漢であるのはご存じの通りで、この手の音楽も無論、例外ではない。ニューヨークに勤務していた06年ころは、暴力をけしかけるラップの過激な歌詞が何度か問題になり、あまりいい印象はない。コンガの歌はわいせつだと放送禁止になったことがある。もっとも、それは解釈の間違いだと本人は主張している。
解釈の違いが生じるのは、彼がエノというヨルバ語を崩した言葉で比喩的に歌うからだという。英語やフランス語でも歌うが、このエノが彼の特徴の一つになっている。
いくつかの曲はインターネットで聴くことができた(http://iroking.com/artist/30/konga)ので、事前に聴いていった。「kabakaba」という曲など、ノリがよくて自然に体が揺れるようになる。
リフレインが多く、自分の名前が何度も出てくることも特徴かもしれない。ラップのような感じもあるけれど、少し違うようにも感じる。そこがコンガスタイルということだろう。
たぶん、こういうリズム感を「もっている」かどうかが、楽しめるかどうかの分かれ目なのだろう。残念ながら、その才がないと思う。そこで、このリズム感は生まれつきなのかと尋ねると「生まれつきと言っていいんじゃないかな。いつもこのようにリズムにのっていて、だれにでも気さくに接するようにしているんだ」と体を動かす。
そんな風に過ごして疲れないかという、じじくさい質問には「だから体を鍛えている。ボクシング、水泳などね」。小柄な体に筋肉がつまっている感じだ。
「私の音楽には、神がとても大事な意味をもつ。こんな風になると周りのだれも考えていなかった時に、神が支えてくれた」。イスラム教徒で、一日5回の祈りを欠かさないという。
発するメッセージは「さあ、仲間に入って一緒に楽しもう」。それが一番大事なことだとコンガは言った。

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。