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アフリカの父との距離、記念撮影に映る@ヨハネスブルク

写真:ネルソン・マンデラ広場に立つマンデラ像=いずれも江木慎吾撮影拡大ネルソン・マンデラ広場に立つマンデラ像=いずれも江木慎吾撮影

写真:ハウトレインがヨハネスブルクのサントンと首都を30分足らずで結ぶ拡大ハウトレインがヨハネスブルクのサントンと首都を30分足らずで結ぶ

 いったん、病院の前を離れてみよう。昨年来、南アフリカを訪れるのは3度目になる。前にも書いたが、ここに来るとアフリカにいるという実感が薄らぐ。国際空港とヨハネスブルクの中心商業地サントンを行き来していると、いつもヨーロッパにいるような錯覚に陥る。

 サントンの中心にあるサントンシティーは、国際会議場、ホテル、巨大なショッピングモールを抱えた丘の上の城のようだ。城にたとえたのは、歩いて入るには入り口が少なく、戦国時代の城のような印象をもったからだ。その分、中に入ってしまうと安心して歩き回れる。日本だと、横浜のみなとみらいに少し似ているかもしれない。

 アフリカ特派員をしていた13年前に比べると、少し変わった。まず、国際空港や首都プレトリアを結ぶハウトレインが開通し、その駅がサントンの地下深くにできた。それまでは近場のホテルから以外、歩いて来る人はいなかっただろう。もう一つ、「城」の中心がネルソン・マンデラ広場と呼ばれるようになり、5メートルはあるマンデラさんの立像が広場を見渡すように建ったことだ。

 変わったのは外面だけではない。かつてサントンシティーを歩いているのは白人と外国人が大半だった。いまは黒人の方が多い。週末ともなると、家族連れがハウトレインに乗って買い物を楽しみに来る。

 資源獲得へ世界が動く中、ここ10年のアフリカは経済発展の時代を過ごした。その成果が、サントンシティーを埋める人の変化にもつながっているように見える。

 マンデラさんは生きながらにして、国の紙幣や硬貨に顔が印刷され、色んな街の通りに名前がつけられている。そして、南アフリカの富の象徴のサントンに、広場と像が捧げられた。一歩を踏み出そうとしているように見えるその像の脇に座ってしばし、訪れる人たちを眺めていた。

 今年の初めに訪れた時に比べ、像の写真を撮る人ががぜん、増えたのは、やはり主の病気ゆえだろう。人だかりというほどではないけれど、像の前には常に人の姿があった。

 ずっと見ていて、写真の撮り方に違いがあることに気づいた。見るからに外国人という人たちは、像から距離をとる。写る人をある程度大きく見せて像全体を収めるには、この方法が一番だ。自分がもし人に撮ってもらうとしたら、この方法だろう。

 黒人たちは、像にひっついて写真を撮る。少し開いたマンデラさんの足の間に体を入れてポーズをとっている。これだと、像全体をフレームに収めるのは大変だ。

 アフリカ以外からの人たちにとって、マンデラさんはもはや、一人の生身の人間というよりも歴史上の偉人かもしれない。対して南アフリカ、アフリカの人たちには、「タタ(お父さん)」と呼んで慕う、懐に飛び込みたくなる存在なのではないか。

 こじつけかもしれないが、写真に納まる人とマンデラ像の距離に、その人とマンデラさんとの距離が表れているように思えた。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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