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(ビリオメディア)得票占う検索数 業界、政治に急接近

写真:候補者の応援演説で登壇した楽天の三木谷浩史氏(左)とサイバーエージェントの藤田晋氏=7日午後、東京・渋谷、白井伸洋撮影拡大候補者の応援演説で登壇した楽天の三木谷浩史氏(左)とサイバーエージェントの藤田晋氏=7日午後、東京・渋谷、白井伸洋撮影

 【冨岡史穂、杉崎慎弥、今村優莉】ネット業界と政治の距離が、参院選で近づいている。議席予測に選挙番組、時に応援演説も。政治家も業界も動き出した。

ビリオメディア参院選

 「ネット上の活動は、リアルな(選挙の)得票とまぎれもなく直結している。同じものを裏側から見ているようなものです」

 インターネット検索大手「ヤフージャパン」の安宅(あたか)和人執行役員(45)は8日、集まった約40人のメディア関係者を前に語った。

 安宅氏は脳神経科学者としての思考を生かしたマーケティングで業界のカリスマ的存在。参院選の政党別議席獲得予測を発表した。

 「検索エンジンで候補者や政党が検索される回数は、当落や得票と高い相関関係がある」というのが、ヤフーの説明だ。システムの詳細やデータの実数は明かさない。

 「ビッグデータ分析」と呼ばれる、大量のデータを組み合わせて新しいことを探る手法。消費者のニーズを把握するビジネスでの常識を、選挙に応用した。

 参院選でヤフーは、自公が過半数をうかがう勢いと予測。直前の大手メディアの情勢調査結果ともほぼ一致する。ただ、利用者が20〜40代中心のネットデータで、高齢者の割合が高い実際の投票者の結果をなぜ予測できるのか。安宅氏も「原因は読み切れない」。

 この分析の狙いを問われると、安宅氏はこれまでの屈折した思いも口にした。

 「ネットは変態の集まりとか、普通の人もネットには意味不明なことを書き込むと思われている。そうじゃない。ネットに広がるのは、現実と等身大の世の中だ。(それを証明するのに)分かりやすいのが選挙分析だった。我々もちゃんと社会の一部でありたい」

 ネット選挙で鼻息の荒いネット企業は多い。ネット広告やセキュリティーなど選挙関連ビジネスを展開する企業は株価が高騰する。政党のアプリなど新サービスを打ち出す企業も相次ぐ。

 だが国内の政党だけでは微々たる規模だ。なぜ選挙にかかわるのか。

 「選挙をきっかけに、ネットに現れる国民の声を聞く重要性を、政治が認識するようになる。その強い影響力に期待している」

 ソーシャルメディアの分析サービス「ホットリンク」の代表取締役社長内山幸樹氏(42)はそう語る。

 ネット企業大手「楽天」の三木谷浩史会長兼社長は参院選で、超党派の8候補の支援を打ち出した。7日、東京・渋谷のハチ公前での応援演説で「三木谷は自民じゃないのかと思う人がいるかもしれないが、党派を超えて規制改革、若者やベンチャーの味方をしてくれる人を参議院に送りたい」と熱を込めた。

 その後も楽天の「朝会」で選挙に触れ、ツイッターで選挙区は民主候補、比例区は自民の候補と自らの期日前投票の結果を明かした。社内からは「ここまで前のめりになるとは思わなかった」との声も漏れる。

■双方向性・中身、充実探る

 朝日新聞社が6月末から3回行った連続世論調査では、投票先を決めるときにネット情報を「大いに」と「ある程度」参考にすると答えた人は42%から34%、さらに29%と減った。参考にしないと答えた人の35%が「ネット上に役に立つ情報が少ないから」とした。ネット選挙への否定的な見方も依然として根強い。

 それに対処しようと、ドワンゴ、ヤフー、サイバーエージェントなど7社は、共同で選挙番組を企画するなど業界内の連携を強めている。

 楽天が2009年に立ち上げたネット献金サイトは、利用する政治家・候補者は計308人で、総献金額は6千万円弱。米国の選挙を変えたと言われる小口のネット献金は、日本では広がっていない。責任者は「ネット献金という形で寄付してもらう過程で支持を拡大していく政治家は一握りだ」。既存の選挙運動に代わって期待されるネットを介した横のつながりはまだ育っていない。

 村井純・慶応大教授(情報工学)は、ネット選挙解禁で起きるのは「政治家の意識の変化だ」とみる。政治家が選挙を通して、ネットの果たしうる社会的な機能に明るくなることを期待する。

 欧米では政府の情報を公開して民間が活用する「オープンデータ」や電子政府化への取り組みが進むが、日本の政治家の反応は鈍い。村井教授は「政治家が変われば、日本の行政のIT化はかなりのスピードで進んでいくはずだ」。

 公示日の4日午前0時。動画共有サービス「ニコニコ動画」に、事前に録画された主要な9党の党首の「ネット第一声」が流れた。その映像を見た聴衆は多い政党で1万6千人。各党の合計では約7万人。

 ニコ動を運営するニワンゴの杉本誠司社長は「この数字は少ないが、ネットの双方向性が当たり前になれば、候補者は、自分自身がメディアになって発信し、ネットの声に応えていくことが求められる。ニコ動が人の集まる環境を作り、政治家が発信する装置としての役割も担いたい。それを政治家が利用しない手はないと思う」と話す。

■首相「解禁した方が得」 ネット利用、9652万人に

 ネット選挙を解禁した4月の公職選挙法改正は「積極的な若手が消極的な年長の議員を押しきった形」(総務省幹部)だったという。解禁に慎重だった自民党の平沢勝栄衆院議員は「参院選に間に合わせようという見切り発車だった。がんじがらめの(改正前の)公選法を抜本的に直す必要があるのに、飛び込んで行ってしまった」と話す。

 一方で安倍晋三首相は3月、「(ネット選挙を)やった方が自民にとって得」と語り、自民党は野党にさきがけて準備。6月には企業と提携し、ネット選挙対策組織を立ち上げた。

 ネット解禁の意義は双方向性を生かして有権者の声が届きやすくなり、地盤や看板のない人も政治に挑戦しやすくなることだとされた。だが現状は、組織力のある政党や陣営が活用する局面が目立つ。

 総務省が16日発表した調査によると、2002年に7千万人だった日本のネット利用者は12年、9652万人に達し、普及率も79・5%に及ぶ。13歳から49歳までは約95%の利用率だ。

■ネット選挙を巡る動き

1996年 自治省(現総務省)が「不特定多数が相手の選挙運動にあたるホームページ(HP)更新は公職選挙法に抵触」との見解を示す

  98年 民主党がネット選挙解禁の公選法改正案を国会に初提出

2005年 民主党がマニフェストにネット選挙解禁を明記

  08年 米大統領選でオバマ陣営がソーシャルメディアを活用

  10年 自民党が選挙にネットの利用を認める公選法改正案を提出

  13年 公選法改正案が成立

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