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09月23日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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「笑っていても苦しみはある」 @ザンジバル

写真:ベランダのある家は、インドの影響とか拡大ベランダのある家は、インドの影響とか

写真:ストーンタウンにあるポルトガルのとりで拡大ストーンタウンにあるポルトガルのとりで

写真:海に面した公園では、夜な夜な魚介などの露店が出る=いずれも江木慎吾撮影拡大海に面した公園では、夜な夜な魚介などの露店が出る=いずれも江木慎吾撮影

 積もり積もってとば口を求める自立への希求を、この島を歩く鋭敏な旅人は感じとれるのだろうか。ストーンタウンで追いかけてくる、人々のあいさつの笑顔の中に。

 「笑っていたって、苦しみを抱えていることはあるでしょう。悲しみの中だってずっと笑わずにいるということはありません」と建設業を営むアブバカル・シャニさん(50)は言う。

 昨年10月、前回書いたウアムショが暴徒化した時のことだ。ザンジバルでは数少ないキリスト教徒のウルファンゴ・マーティンズさん(57)はキリスト教徒の墓を整えようとしていた。その墓が襲われた。十字架が壊されているときにマーティンズさんは現場に駆けつけた。

 「すでに亡くなっている人たちが、あなたたちに害を及ぼすことなどないはずだ」と壊していた若者たちを諭そうとしたら、殺すと脅された。たまたま様子を見ていた知り合いが機転をきかせて逃がしてくれて助かったという。

 ウアムショの幹部はこの暴動以来、超法規的といえる状態で拘束され続けている。

 マーティンズさんは今のままのザンジバルがいいとは思っていない。外交や防衛を手に入れ完全な自治を果たした上で、タンガニーカとの緩やかな連合を結ぶのがいいと考えている。

 なぜ、独立ではないのか。もし独立すれば、ザンジバルはイスラム国家になってしまうのではないか。少数派として、暴動の被害者としてマーティンズさんは感じてしまう。

 そういう見方は論外だという人もいる。先のシャニさんはその一人だ。ウアムショのしわざだとされる暴動は、実はタンザニア政府が介入の口実のために仕組んだものだとまで言う。集会の規制が暴徒化につながったという見方は確かに強いようだ。

 通り過ぎるだけではなかなか気づかないけれど、人々の間に不満がたまっている。完全に自立できないもどかしさの一方で、観光に依存するザンジバルが平和と安定を失っては生きていけない。

 その辺のところをどう考えるのか、市民統一戦線(CUF)のサリム・ビラミ広報担当に聞いてみた。

 いま憲法改正委員会が提案する「3政府方式」、つまりタンガニーカとザンジバル政府があって、外交、防衛、内務などを担う連合政府が別に存在するという方式について、CUFは受け入れられない立場だ。タンガニーカとザンジバルの政府が併存するのは不公平さの解消に向けた前進だけど、肝心の外交権などを含む「完全自立」が達成できない。

 完全自立した上で、タンガニーカと緩やかな連合を結ぶのがCUFの主張だが、タンガニーカ側が認めるかどうか。ビラミさんによれば、実力行使には出ないし、たとえ完全自立したとしてもイスラム国家をつくることはない。それがCUFの公式な立場だ。

 袋小路のようにも見える。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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