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09月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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串焼きの黒い食べ物… ん、しっぽ?? @ジュンガトゥ

写真:マラウイ湖に近づくと、バオバブが増える拡大マラウイ湖に近づくと、バオバブが増える

写真:マラウイ湖畔にも拡大マラウイ湖畔にも

写真:噴煙を上げているわけではなく、山のてっぺん付近の野焼きの煙が下へたなびいている拡大噴煙を上げているわけではなく、山のてっぺん付近の野焼きの煙が下へたなびいている

写真:説明抜きでどうぞ=いずれも江木慎吾撮影拡大説明抜きでどうぞ=いずれも江木慎吾撮影

 最初に注意しておきますが、食べ物に繊細な人は、写真を含めてこの回をパスした方がいいかもしれません。

 首都リロングウェから7月31日、南部の商都ブランタイヤに向かう。約300キロの道のりになる。

 マラウイに着いた翌日は首都から北へ向かい、時をへた油絵の風合いの景色について書いた。次の日は東南のマラウイ湖を訪ねた。湖に近づくに従って、バオバブが目立ちだした。タンザニアを走った時のように不気味に林立するわけではなかった。木はずっと太く、大きかった。

 そして31日は、山を駆け上がり、乾燥した風景の中を走る。途中から道路がちょうどモザンビークとの国境になった。壁も何もない。町に入って道の左がマラウイ、右がモザンビークと店が並ぶ。右手の店には英語に交ざってポルトガル語の表示が見える。警察署にはモザンビークの国旗が掲げられている。

 道は国境を離れる。というか、国境ではなくなる。南進するに従って空は晴れてきた。マラウイでは、あっちこっちの道ばたで若い男や子どもが串に刺した黒っぽいものを売っている。最初は小魚かと思ったが、長いしっぽが見える。

 ネズミだった。ムベワと呼ぶ野ネズミを煮て焼いたものだ。ムベワは畑に巣穴を作り、畑のメイズを食い荒らす。家に出没するネズミはコスエと言う。これは食べない。

 車の運転手に聞くと「栄養価が高くてうまい。買ってくれるならもちろん食べる」というので、串を1本買うことにした。道ばたに車を止めると、3人の若者が先を争って来た。竹の棒2本で8センチほどから15センチほどの10匹を、きちんと大きさ順に「開き」のようにしてはさんである。刺しているのではなかった。350クワチャというから、約100円になる。

 メイズの収穫が終わった6、7月がムベワを捕獲して売る最盛期らしい。とり方は色々だが、ジュンガトゥ村に住むベニト・マテソさん(24)はムベワの巣穴を見つけて逃げられないように慎重に掘り返し、一網打尽にする。すべて手作業で、10匹捕まえるのに6時間ほどかかる。日に3、4串売れることもある。売り上げは畑の肥料を買う足しにする。

 内臓をとりだして湯で煮てから塩を振り、炭火であぶるのだという。運転手に串ごと進呈すると、「慣れた人は丸のみするけど」と言いつつ、さっそく手で少しつまみ始めた。

 外はこんがり焼けているけれど、中が白っぽい。今とは逆の暑い季節には衛生上、食べることができないとも聞いて、申し訳ないがとても手が出なかった。においだけかぐと、少し癖のあるビーフジャーキーのようだった。

 運転手は「これでンシマを食べると最高だ。今から晩ご飯が楽しみ」と喜んだ。ンシマは、メイズでつくったお餅のような主食だ。でも一家4人でムベワを食べるのは彼1人と言っていたから、国民的大好物というわけではない。

 アフリカに来てバッタ、イモムシ、ヤマアラシらしきもの、大きなカタツムリを食べたが、ネズミはダメだと少し力を落として言うと、「カタツムリを食べるなんて、気持ち悪くて信じられない」と言われた。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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