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09月24日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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石油探査が開けた災いの箱、閉じる道は @ブランタイヤ

写真:来年の大統領選に向けて、有権者登録が街角で行われていた拡大来年の大統領選に向けて、有権者登録が街角で行われていた

写真:マラウイ国立博物館。左手の建物の中は撮影禁止だった。野外展示には昔の発電装置や蒸気機関車などが展示されている拡大マラウイ国立博物館。左手の建物の中は撮影禁止だった。野外展示には昔の発電装置や蒸気機関車などが展示されている

写真:マラウイ国立博物館の野外展示=いずれも江木慎吾撮影拡大マラウイ国立博物館の野外展示=いずれも江木慎吾撮影

 マラウイ南部の商都ブランタイヤに霧雨が降る。上着を着ても寒い。丘の数々に街が散らばっている。金融機関に、ホテルに、ショッピングモールに、南アフリカの影響を濃く感じる。ブランタイヤを通る道は、南アフリカへ通じている。

 英国の宣教師にして探検家だったデビッド・リビングストンはアフリカ各地に足跡を残した。ビクトリアの滝を命名したように。ブランタイヤはリビングストンがちょうど200年前に生まれたスコットランドの町からその名をとった。

 ここ数年、いまのハイテク生活に欠かせないレアアースを求めるマラウイ詣でが続いている。独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2010年7月、マラウイ政府との間に覚書を交わし、この国の南部数カ所でレアアースの探査活動を始めている。

 オーストラリアやカナダの会社もマラウイ南部でレアアースを探している。スマートフォンやハイブリッド車などに使われるレアアースの供給国としてマラウイへの期待が高まる。マラウイは各国からの技術供与、移転に期待を寄せている。

 そして、マラウイ湖の石油・天然ガス探査については、このシリーズの初回に書いた。探査がタンザニアの反発を招き、両国関係が緊張していることも。

 一帯の宗主国だったドイツと英国が19世紀末に交わした条約によって、マラウイとタンザニアの国境はマラウイ湖のタンザニア側の岸に設定された。だが、タンザニアは1世紀をへて発効した国際海洋法条約などを根拠に、湖の中央が国境線だと主張している。

 南アフリカのムベキ前大統領らが9月までに調停しようとしているが、両国の立場には開きがあり妥協の余地は見えない。調停が不調に終わり、問題は国際司法裁判所に持ち込まれるというのが大方の予想だ。

 両国の主張の正当性はともかく、石油探査が開けてしまったパンドラのはこを、穏便に閉じる道はあるのだろうか。

 シムガラシェ・モンゴシさん(41)は、ブランタイヤにあるマラウイ大学で政治学を教えている。モンゴシさんは、自国の正当性は揺るがないとしつつ、湖の一部と陸地の交換を提案する。内陸国マラウイは、海に抜ける手段がほしい。湖の一部をタンザニアに渡すのと交換に、インド洋への抜け道となる土地をタンザニアから受けとるというのだ。

 斬新だけれど、今の状態で実現可能性があるように思えない。そのこともあってか、モンゴシさんは「平和を望むには戦争に備えなければならない」と、マラウイ軍の強化も主張している。国土の広さ、人口、軍事力、どれをとっても隣国タンザニアに太刀打ちできないのが、今のマラウイの状況だ。

 雨の中、マラウイ国立博物館に出かけてみた。小学校の体育館より小さい展示室があるばかり。展示の脈絡があまり感じられない。暗くて説明がよく見えない。そんななかに、なぜか広島の被爆敷石が展示されていた。

 広島の市民団体が被爆した市電の敷石に観音像を彫って磨き、世界各国に平和を祈って贈ったものの一つだ。平和の意義の再考を求め、祈りを込めて贈った、と説明書きにあった。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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