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11月14日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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国境の道に葬列 目の前にある見えない線 @テンベケ

写真:国境の道から望むモザンビーク拡大国境の道から望むモザンビーク

写真:道ばたには、警察署があって、モザンビーク国旗が掲げられている拡大道ばたには、警察署があって、モザンビーク国旗が掲げられている

写真:警察署の反対側は、ふつうにマラウイ拡大警察署の反対側は、ふつうにマラウイ

写真:市場の日ではなく閑散と。後ろの店に「BANCA」の文字が目立つ。ポルトガル語で「店」のようだ拡大市場の日ではなく閑散と。後ろの店に「BANCA」の文字が目立つ。ポルトガル語で「店」のようだ

写真:――と言われても=いずれも江木慎吾撮影拡大――と言われても=いずれも江木慎吾撮影

 マラウイの治安は昔に比べれば悪くなったらしいが、昼間の街中は問題なさそうなので、ブランタイヤを散策をしようと思っていた。でも、雨で果たせなかった。

 前回、国境やら博物館やらを色々ごちゃ混ぜにして書いてしまった。ていねいに分けて書けばよかった。

 たとえばデビッド・リビングストンについてはこれまでも触れてきた。ただ、アフリカのあっちこっちに足跡を残しているものだから、どこでまとめて書くのがいいのだろうと思っていた。それに今どきリビングストンといってもピンとこないだろうなあとも考え、つい色んなところにちりばめてしまう。

 今回は、ブランタイヤの名前の由来にかこつけて触れた。マラウイ博物館にもリビングストン展示コーナーがあった。そして、申し訳ないがとても貧弱な博物館の展示の中に、突然「広島」の文字が飛び込んできたものだから、それも書いてしまった。

 2日はリロングウェに戻る。途中からまた、国道1号ということだろうけどM1号の道路がモザンビークとの間の国境線になる。左手を見ると、ポコポコと岩の小山が、広い枯れ野に浮かぶ島のように見えている。

 往年のアメリカ映画「大いなる西部」を思い出す。といっても、風景まで覚えているわけもない。壮大な気分にさせる風景だと言いたいだけだ。グレゴリー・ペック演じる主人公の生き方が格好良かったなあ、とこれまた脱線してしまう。

 ところどころに案内板が立っていて、「←リロングウェ、↓モザンビーク」という具合になっている。道が国境なのだから、左に曲がればモザンビークなのは当たり前だけど、何となくほほえましい。マラウイ湖の国境線でもめているという話を書いた直後だけになおさらだ。マラウイ湖にあるモザンビークとの国境線とて、すんなり決まったわけではない。

 そんなものなどないかのように人々が行き来している。でもそこには線があって、画されている。そんなことをぼんやり思いながら疾走する車からの風景を見ていると、前方から男性が緑の枝をかざして歩いてきた。

 車は急に減速し、対向車線側の路肩に止まった。前の車も、後ろの車も同様にして、乗っている人たちはみな車から降りた。見習った。

 葬列だった。野辺の送りだった。

 200人はいるに違いない。緑の枝の男性からだいぶ離れて、女性たちの歌声が聞こえてくる。アフリカのどこでもそうだが、歌声は見事なハーモニーになっている。高い声のために軽やかに聞こえるけれど、合いの手のように泣き声を上げる人もいる。

 「お墓になんて入らないで、帰っておいでよ」と歌っているらしかった。列の真ん中あたりに、金属でできた、赤い小さなひつぎが見えた。

 ここにも見えない線が引かれていて、すでにその線を越えてしまった人が、ちゃんとみんなに見えるように改めて線を越えてゆく。たまたま通りかかった人たちも、動きを止めて見送る。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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